宮国 早すぎた「ダル崇拝」

2012年05月20日 12時00分

 巨人に緊急事態だ。16日のオリックス戦(東京ドーム)、先発の宮国椋丞(20)が右肩の違和感を訴え、1回わずか14球で降板したのだ。幸い大事に至っていないようだが、他球団のトレーナーは〝再発〟の危険性を指摘。その理由は、宮国が理想としている「ダルビッシュ」にあるという。

 緊急降板した宮国について、川口投手総合コーチは「本人は『投げられます』と言っていたが(マウンド上で肩をグルグル回すなど)いつもと違うしぐさをしてたでしょ。(ベンチに戻った後に)トレーナー室に行ったので、何かあるのかなと」と語り、あくまで〝大事を取って〟の降板とした。

 登録抹消はせず、原監督も「大丈夫だと思うよ」と語ったが、他球団のトレーナーは「今は大丈夫かもしれないが、あのフォームを続ける限り、けがの不安が付きまとうことになる」と指摘した。

 その理由がダルビッシュ。「宮国はダルの投球フォームに少しでも近づきたいと思っている。『理想の投手』に挙げている」(チーム関係者)という。ダルビッシュのフォームは、ボールをリリースするギリギリまで左肩を打者方向に開かず、最後に下半身のひねりからくるパワーを一気にボールに伝える投げ方。肩を最後まで開かないことで、ボールの出どころが見えづらいという特徴がある。

 しかし、誰でもできるかというと「しっかりした軸を速く回転させないと音が出ない、デンデン太鼓を鳴らす原理と一緒。強靱な下半身をつくらないと、腕まで力が伝わらない。下半身の力がないと上半身だけで投げようとするから、結果的に肘や肩に負担がかかる」(前出のトレーナー)というリスクをはらんでいる。高卒2年目で体が完全にできておらず、徹底した走り込みや投げ込みをしてこなかったといわれる宮国にとっては、まさに危険を伴うフォームだ。

 こんな話もある。「他球団でも取り入れようとする選手は結構いたが、うまくいかずに断念している。ダルビッシュの師匠と言われている佐藤義則さん(楽天投手コーチ)が、楽天の若手数人に『ダルビッシュをまねてみろ』とやらせたことがあったが、上半身と下半身のバランスを崩して結局、元に戻した。それだけ難しい投げ方でもある」(球界関係者)

〝もろ刃の剣〟ともいえる宮国の投球フォーム。今後は登板間隔を空けて先発させる方針だが、果たして——。