【伊原春樹 新鬼の手帳】今年の西武は信じられないぐらい打ちましたね。あれだけボッコンボッコン打ったら、ベンチも楽ですよ。1番から6番まで脂が乗り切った打者がずらりと並び、源田や金子侑、今は離脱している外崎らは足も使える。リーグトップの盗塁数が示すように、相手にとってこれほど嫌な打線もないだろう。

 西武黄金時代の打線との比較では、対戦相手の投手の質が違いすぎるから一概には言えないけれども、当時の秋山、清原、デストラーデと並んだ破壊力と比べても、遜色はないと思う。

 半面、チーム防御率(4・27)はリーグ最低。といっても、それほど悲観しなくてもいいのではないか。菊池、多和田の二枚看板は信頼できるし、2人のローテをしっかり離して起用してきたから大きな連敗もない。2桁勝った榎田も負け数は少なく、大きく貢献した。今井も今後が楽しみな存在だし、ほかの投手も悪いなりに要所を抑えてきた。CSでもシーズン通りの戦い方をすれば、自然と結果はついてくるだろう。

 課題を挙げるとすればリーグワーストの失策(84)の多さか。まだまだ大ざっぱなところがあり、整備が必要となっている。辻監督の目指すところはやはり、黄金時代の緻密な野球であり、守りをしっかり固めて隙のない野球をすることだ。

 ベテランの中村や栗山らも本当に頑張っているが、なかなか守備での動きは厳しくなっている。来季は浅村や菊池という投打の柱がチームにいなくなってしまうかもしれない。コンバートも含め、守備力強化は秋以降の大きなテーマとなる。(本紙専属評論家)