M10西武 フロントOBが証言する「野手王国」への理念

2018年09月19日 16時30分

ナインに出迎えられる山川

 西武が18日の日本ハム戦(メットライフ)を7―4で制し、5連勝で優勝マジックを10に減らした。初回に秋山の20号先頭打者弾、主将・浅村は自己最多28号2ランなど2安打で116打点、初の本塁打王にばく進する4番・山川は42号ソロと打つべき人が打って先発・多和田の15勝目(5敗)を強力アシストした。そんな他球団もうらやむ西武の強力打線は自然とできたわけではない。その裏にはドラフト戦略の確固たる「理念」があった。

 この日は平日のナイターにもかかわらず、2万5075人のファンでスタンドは埋まった。辻監督は、本拠地の大歓声に感謝するように「聞けばチケットもなかなか取れないらしく、それだけファンの皆さんがチームの優勝を祈ってくれている。それに応えたいと思います」と頼もしいV宣言。10年ぶりのVへ着々と歩を進めている。

 今季、西武の原動力となっているのは、もちろん破壊力抜群の強力打線。この日の7得点で2004年の球団記録(718)を更新するシーズン725得点となり、残り14試合でプロ野球史上3球団目(1950年松竹=908、03年ダイエー=822)となるシーズン800点台も見えてきた。

 規格外の打線には、16年ぶりにチームに復帰した松井稼が「これだけひとつのチームにタレントが揃うこともそうない。センターラインと山川はそのまま侍ジャパンに入っても全然おかしくない」と目を丸くするほど。その指摘はくしくも、この日の対戦相手、日本ハムの栗山監督が「ウチのレギュラーがそのまま侍ジャパンのレギュラーになることが理想」と目指していた“到達点”でもあった。

 もちろん、プロ野球史上でも類を見ない西武の「野手王国」は偶然の産物などではない。球団のフロントOBはこう証言をする。

「ドラフトで野手を獲る時は漠然と獲ることはない。今いる主力の3年後、5年後を常に考えて補強をし、育てていかないとどこかで空白期ができる。かといって同じポジションに同年代の野手をダブつかせても非効率。いい選手がいくらいても、邪魔にならない投手とはそこが違うところ。例えば今、ようやく主力になってきた山川、森もすでに5年目。社会人出の源田だって3年後に今のクオリティーを維持できているかは分からない。だから常に先々を見て準備をしておくということ。いい野手はいる時にちゅうちょなく獲らないといけない」

 明文化こそされていないが、それが監督、管理部長として常勝ライオンズの礎を作った「寝業師」こと根本陸夫氏が残した遺訓でもある。

 一方、多くの西武ファンが不満を持つ投手に関しては「例えばチームを劇的に変えられるグレードの松坂やダルビッシュ、田中将、大谷がどれくらいの頻度で登場してくるかということ。毎年出てくる(レベルの)1位投手を集めても大勢に影響はない」(同OB)と割り切っているとか。

 投手王国が野手王国へと変貌してきた理由の一つには、他球団が安易に欲しがる投手に惑わされず、いい野手をきっちり射止める独自の理念があった。