男・村田…これほど器の大きさを感じた選手はいない

2018年09月10日 16時30分

【取材のウラ側 現場ノート】仲間やファン、そして家族への感謝の言葉を伝えたBCリーグ栃木の村田修一内野手(37)の“ラストスピーチ”。実直な言葉の数々に、スタンドのあちこちからすすり泣きが聞こえ、メモを取っていた記者も思わず目頭が熱くなった。

 30年間の野球人生に関われたのは、最後の4年程度だったけど、これほど器の大きさを感じた選手はいなかった。巨人担当2年目の2016年、由伸政権初の宮崎春季キャンプで、ビクビクしながら「聞きたいことがあるんだけど…」と呼び止めた。

 質問は懲罰交代や試合中に帰宅を命じられるなど誰より厳しい“采配”を受けた前政権での4年間について。殴られることも覚悟していた。それでも「何もないっすよ」と言いながら、帰りの車を10分以上も待たせたまま真摯に答えてくれた。以来、答えたくもないであろう質問にも何度も真正面から応じてくれた。

 BC移籍後は定期的に栃木に通い、じっくり話す機会に恵まれた。改めてそれまでの謝罪と感謝を伝えると「本当に全然気にしてないですから」と笑い飛ばし「いつも、わざわざ遠くまで来てくれてありがとうございます。今日はどうしたんですか? 何もないっすよ」と握手し、一緒に腰を下ろすのが定番となった。話したくないなら、話さなくても済む。でも、村田は違った。

 横浜時代の恩師、現巨人・田代二軍打撃コーチが、こんなことを言っていた。「俺が初めて修と会ったのはアイツが日大で大洋のキャンプに参加した時だったな。最初は無口でも、ちょっと近しくなればしゃべるよ。『今度ゆっくり飲もう』って、よろしく伝えといて」。取材中に聞かせてくれた師匠譲りの屈託のない言葉の数々。少しは心を開いてくれたのかな。一流選手の散り際に付き合わせてもらったことは記者冥利に尽きます。感謝しかありません。修さん、ひとまずゆっくり休んでください。次は仕事抜きで乾杯しましょう。(巨人担当・大島啓)