【男・村田の栃木便り】“男・村田”のフィナーレが近づいている。横浜(現DeNA)、巨人でプレーした村田修一内野手(37)がBCリーグ栃木の今季最終戦となる9月9日の群馬戦(小山)で事実上の引退試合を迎える。NPB復帰の断念を表明した8月1日の会見では、あえて「今日はその2文字を使いたくない」と「引退」のフレーズを封印。その真意はどこにあったのか。また、自らにケジメをつけたことでかつての同僚たちも敏感に反応。ラストスパートに入った背番号25の胸中は――。

 こんにちは、栃木ゴールデンブレーブスの村田修一です。7月31日にNPBの支配下登録期限が過ぎ、8月1日には記者会見を開かせてもらいました。

 その席で僕は「その2文字を使いたくない」と発言しましたが、話を整理すれば、事実上はそうなる(引退)というのは間違いないのかなと思います。しかし、あの日は「9月9日まで現役選手としてやりたい」ということをお伝えしたかったのです。現役を辞めるために、野球をやるわけではない。単なる僕の意思の持っていき方です。ケジメとして9日まで現役選手として野球をやりますし、毎日できる限りの万全の調整を続けていきます。

 会見を終えてからは、いろいろな人が連絡をくれました。サネ(実松=日本ハム)も「9日までに顔を出すわ」と言ってくれましたし、カトケン(加藤健=元巨人、現BC新潟球団社長補佐)も新潟との試合の時に会い「まだ動けるねえ」って…。「お前、この前の会見、見てねえのか?」と思いましたけどね。

 勇人(坂本=巨人)も「また一緒にやりたかったですけど、シュウさんが選択したことなので何とも言えないですけど、またオフになったらメシに行きましょう」と言ってくれました。勇人はケガをして僕のことに構っている場合ではなかったはず。そんな大変な時でもみんなが気にかけてくれてうれしかったです。

 家族には以前から説明していましたが、長男は「続けてほしい」と言います。ですが「お前らのために前へ進むんだ。お前らの親父を辞めるわけじゃない」と言い聞かせました。

 この1か月は僕や家族にとって貴重な時間になりました。息子たちは夏休みで(栃木在住の妻方の)じいちゃん、ばあちゃん、そして僕といて間近で野球を見て、自然のなかで目いっぱい遊んでいました。カブトムシを捕まえたり、川遊びをしたり…。NPBにいた時の8月は週の6日が試合でしたから、ゆっくり子供たちと夏休みを過ごすことができなかった。これも球団に拾ってもらったからこそできたことだと思います。

 残り試合も少なくなってきました。寂しさはありますが、目いっぱい、悔いなく野球をやってこられました。最近は腰など体の節々に痛みが出てきています。元気に動きますが、若くはない体にムチ打ち、気持ちで痛みをこらえ、抑え込んできました。気持ちの整理がついてきたからなのかもしれません。

 9日はブレーブスの最終戦、僕にとってもファイナルゲームになるかと思います。それまでの間、球団はさまざまなイベントを企画してくれています。個人的には、そんなに仰々しくやってくれなくてもいいんですけど…。ただ、体が痛くても今までのように、ヒットを一本でも多く打ち、次の年に向けていい形でシーズンを終えようとしてきたスタイルを変えるつもりはありません。

 ファンの方にはメディアを通じてしか報告できていません。最後は見に来てくれた皆さんの前で、自分の口から「2文字」を使ってあいさつできればいいかなと思っています。