金農・吉田にプロスカウトが期待“清宮パターン”のプロ表明

2018年08月30日 16時30分

昨日の敵は今日の友――吉田は甲子園の決勝戦で投げ合った柿木(右)とも打ち解けている

「第12回BFA U18アジア野球選手権大会」(9月3日開幕=宮崎)に出場する高校日本代表は29日、都内のグラウンドで明大と7イニング制の練習試合を行い、4―4で引き分け。注目の吉田輝星投手(3年=金足農)は試合に出場せず、別メニューで調整を行った。チームはその後、羽田空港から決戦の地・宮崎へ。現時点では大学進学が濃厚ともいわれる吉田だが、ネット裏のスカウトからは昨年の“清宮パターン”を期待する声が上がっている。

 吉田はこの日、他の選手らとともにアップに参加。柿木(3年=大阪桐蔭)や渡辺(3年=浦和学院)らと笑顔で体を動かし、汗を流した。試合中はグラウンド近くの室内練習場で1人別メニュー調整。ウエートやランニングに加えて捕手を座らせた状態で30球を投げ込み「直球を20球ぐらい投げた。甲子園の時よりも感覚はいい。今日は直球を中心に投げたので直球しかわからないが、状態はいいと思います」と手応えを口にした。

 仲井ヘッドコーチは吉田の状態について「向こう(宮崎)に行ってからは完全に入れていくと思う。どこで使うかはまだわからないが、球数制限もある。様子見で使うと肝心なところで使えないとかね。起用法はまだわからないけど、もう行けるような状態です」と話した。31日の宮崎県選抜との壮行試合で登板する見通しだ。

 秋田大会の初戦から甲子園での準決勝まで10試合連続完投し、大阪桐蔭との決勝戦も含めた11試合で計1517球を投げた影響が心配されているが、プロのスカウトからは意外にも吉田の今大会への参加を歓迎する声が上がった。在阪球団のあるスカウトは「もちろん休ませた方がいいし、使うのならくれぐれも大事にしてもらいたい。いまさら投げても投げなくても、吉田君の評価が変わることはない」と前置きし、こう力説した。

「この大会に参加することは彼にとって間違いなくプラスの経験になる。ここが高校時点での最高峰の舞台なわけで、日の丸を背負って同世代の、たとえば大阪桐蔭の練習や意識に触れることで急激に野球に対しての思いが強まってくるもの。今まではある意味、田舎で敵なしでやっていたのが、プロ志望の選手と触れ合うだけで、プロへ大きく気持ちが傾くのはよくあること。この大会が吉田君の人生のターニングポイントになる」

 同世代のプロ志望選手との交流により、現時点で大学進学の意向が強いとされる吉田の胸中が、プロ入りへと傾くことに期待しているのだ。

 実際、昨年のU―18W杯前までは吉田と同じくプロか早大進学かで進路を明かしていなかった現日本ハムの清宮が、帰国後すぐにプロ入りを表明した。進路に悩む高校生にとって、世代トップレベルや世界のレベルに触れる経験が、大きな影響を与えることは珍しいことではない。

 実際に、その兆候は吉田の発言からも見て取れる。「投手陣はみんな仲がいいですけど、あえて1人言うなら柿木。(プレースタイルが)似たような感じなので。球速だったりとか、球種もほとんど同じなので、そういうところで感覚の話をしたりします」「根尾は思ったよりもマジメ」「藤原は打たれたから抵抗があったけど、話してみたら非常にいい人」と話すなど、同年代のプロ志望選手らと打ち解け、大いに刺激を受けている。

 別調整で合宿を終えた吉田は「すごいチームメートに迷惑をかけていると思うので、そこをしっかりと試合の投球で恩返しというか…。その分、それに合った投球をしたいと思う」と改めて意気込みを語ったが、いまだ進路については白紙を強調している。果たして大会後にはチームメートたちと同じプロの道を選ぶのか。スカウトのもくろみやいかに。

【明大との練習試合「粘りのドロー」】明大との練習試合は4―4で引き分けた。先発を任された唯一の2年生・奥川(星稜)は5回4失点と打ち込まれたが、中盤から終盤にかけて攻撃陣が奮起した。

 0―3の4回に3番・小園(報徳学園)、4番・根尾(大阪桐蔭)の連打などで一死二、三塁とし、奈良間(常葉大菊川)の投ゴロの間に1点。続く野尻(木更津総合)の左越えの二塁打でもう1点。2―4の5回にも小園の適時打で1点を返した。3―4の7回には根来(常葉大菊川)の内野安打などで一死二、三塁とし、蛭間(浦和学院)の犠飛で追いつき、何とか引き分けた。

 チームはその後、宮崎入り。永田監督は3日に開幕するアジア選手権に向けて「ここまでかなり練習をやってきましたので。(宮崎で)時間もあまり取れないと思うので、集中した練習をして万全の態勢で本番に臨みたい」と話し、表情を引き締めた。