金足農フィーバーが好景気もたらす?全国から「ふるさと納税」続々

2018年08月22日 16時30分

「あきた美彩館」でも金農の健闘を祝福した

 21日に幕を閉じた第100回全国高校野球選手権大会で一番の注目を集めた主役は、決勝戦で大阪桐蔭(北大阪)に敗れたものの、剛腕・吉田輝星(3年)を擁して大健闘した金足農(秋田)だった。第1回大会以来、103年ぶりの決勝進出に、沸きに沸いた秋田県民。地元では紫色の下着を着けて応援する“カナジョ”が現れ、日本中から“ふるさと納税”の申し込みが。「金農」が秋田の経済・財政の救いとなりそうだ。

「金農の試合の時は誰も店に来ないよ」とは秋田市内の飲食店関係者だ。金農が快進撃を続けるたび、飲食店どころか街から人がこつぜんと姿を消した。ベンチ入りした全部員が秋田出身で、公立校が私立の強豪校を破っていくという物語性もまた、秋田県を熱狂の渦に巻き込んだ要因だ。

 金農カラーの紫色の服を着て応援する人もよく見られたが、壇蜜や佐々木希を輩出した奥ゆかしい県民性を持つ秋田美人の中には「上下セットで紫色の下着を着けて真剣に応援した」(市内の女性)という“カナジョ”まで現れた。

 試合のパブリックビューイングが行われたイオンモール秋田(秋田市)に店を構える女性下着店「アモスタイル」では、今月から「秋の新作として、バイオレット(紫)色の下着を推し始めました」とのこと。とはいえ、さすがに「金農色をください」と言ってくる女性客はいないとか。

 金農に魅了されたのは県民だけじゃない。サヨナラ逆転ツーランスクイズで敗れた近江(滋賀)ナインが甲子園の土をかき集めながら「あいつ(吉田)半端ないって」「あれがプロやな」などと明るく勝者をたたえた姿も話題に。負けた相手からも好かれてしまうのも金農の魅力だ。

 決勝戦後の夕方、県の銘酒「太平山」を客に振る舞った秋田県産品ショップ「あきた美彩館」(東京・品川)の兼子友美店長は「横浜や日大三高の出身のお客さまから『頑張ってね』『負けたけど応援したくなるチームだよね』と声をかけてもらいました」と明かす。

 日本中に金農ファンが増殖中で、それを象徴する声がネットでよく見られた。「ふるさと納税は秋田にする」「限度額ギリギリまで納税したい」という声だ。「活躍した金足農の生徒さんが作った野菜や米を食べたい」。いまや高校のブランド力は全国的に高まっている。

 秋田市に対するふるさと納税の件数は、14日の2回戦・大垣日大(岐阜)戦から21日の決勝まで34件(合計約179万円)あった。市企画調整課の齋藤一洋さんによると「金農頑張れ!」「金農への寄付に入れて」と応援メッセージや寄付の意思表示が添えられていたのは34件中9件(同約51万円)だった。

「その9件のうち、5件が今日(決勝の21日)にされたものだった。決勝進出で県外の方から反応があった」と手応えを感じている。

 金農は県立高校のため、秋田市へのふるさと納税のお金を県の高校に投入することは難しい。しかし、金農の生徒が作った野菜などを返礼品にすることは不可能ではない。

 教育の一環で生産されたものを返礼品にすることには賛否両論が出るだろうが「返礼品は秋田市のPRになるようなものが選ばれます。金農さん側にその意思があるなら、返礼品にできると思います」(齋藤さん)。

 高校野球ファンにとってはたまらない商品となり、農業高校への理解もさらに広まれば、農業大国・秋田にとっても良いこと尽くしである。

 前出の「美彩館」にも金農の商品は置いてないが「秋田県の『うまいもの販売課』が動いていて、ウチと有楽町のアンテナショップ(東京・秋田ふるさと館)が金農の生産物を扱えるようになりそう」(店長)という。

 金農の所在地の秋田市が注目されているが、隣の潟上(かたがみ)市もフィーバーに沸いている。吉田をはじめとする4人のベンチ入り選手の出身地だ。同市のふるさと納税担当者は「吉田くんの地元なんですけど潟上は有名にならないですね(笑い)。でも『秋田』や『あきたこまち』を連呼してくれただけでうれしい」と笑う。

 潟上市には国内最北のとらふぐの産卵場所があり、ふるさと納税返礼品も「北限のふぐ刺し」を推す。吉田の地元もブレークするだろうか!?