夏の甲子園決勝戦を制した大阪桐蔭(北大阪)だが、全国的にはすっかり金足農フィーバーに隠れてしまった。この予想外の事態を関西人はどう見ている?

「大阪桐蔭は常連校やしね。正直、日大三が来ると思ったけど、たまたま金足農が相手やっただけ」(大阪市民)という声や「確かに(金足農の)決勝までの勝ち上がり方は劇的やったけどね」(大阪府民)。また、「全力プレーの県立高校ってだけで応援してしまう。高校野球って何があるか分からんのが面白いし、みんな番狂わせが好きやしね」(奈良県民)なんていう見方も。

 感想は人それぞれだが、全国的なフィーバーに比べると、どこかしら冷静。背景には関西人にとって東北がなじみの薄い地であることも影響していそうだ。ある大阪府民は「関西人って東京まで行って、そこでおしまいって人が多い。飛行機で旅行するにしても、東北に行くなら、その先の北海道まで行っちゃう」。

 だが何より、昨年まで選手権優勝回数12回(1位)を誇る野球大国・大阪で予選を勝ち上がった大阪桐蔭の強さを、誰もが認めていることがある。

「北大阪大会準決勝・履正社戦の逆転勝ちがすごかった。あの試合がヤマやった。100回の記念大会で、強いチームが勝つべくして勝ったということ」(別の大阪府民)

 当の大阪桐蔭OBもこう語る。

「ヒール感は確かにあるかも。でも、それはどこが相手でも一緒。決勝に残れば『また桐蔭か』といつも言われるしね。今年は史上最強とも言われてたし、まともなら優勝するやろうとは思っていた」

 もともと強いチームが、最高のパフォーマンスを見せて勝ったということ。ジャイアントキリングも楽しみ方の一つだが、関西人が大阪桐蔭に向けるまなざしには、やはり「地元愛」が詰まっているのだろう。