第100回全国高校野球選手権大会は17日、甲子園球場で3回戦が行われ、金足農(秋田)がミラクル逆転劇で23年ぶりに8強進出を決めた。

 プロ注目のエース右腕・吉田は優勝候補の一角、横浜(南神奈川)を相手に3戦連続2桁となる14三振を奪い、4失点ながら完投勝利。2点を追う3回二死三塁では3番打者としてバックスクリーン左へ同点2ランを突き刺した。投げて、打っての大活躍でチームを勝利に導いた。

 吉田が真骨頂を見せたのは9回だ。2点を追う8回一死一、二塁で6番・高橋に起死回生の逆転3ランが飛び出すと「仲間が逆転してくれたので最後は全員三振のつもりで投げた」と最終回のマウンドへ。渾身の力を振り絞って164球を投げ抜き、狙い通りに3者連続の空振り三振で締めくくった。

 特に最後の打者・角田への4球目、この日161球目に自己最速の150キロを計測し、甲子園のスタンドからどよめきが起きた。吉田は「疲れていたけど、自分の力以上の力を仲間が引き出してくれた。あれは自分の力じゃない。秘めていた力です」と心地よさそうに汗を拭った。

 甲子園で金足農ナインのパワーの源になっているのは秋田を代表するお米「あきたこまち」だ。大会前、宿舎に秋田県と地元のJAから計200キロもの差し入れがあり、毎夕に食べている。もちもちとした粘りのある食感が特徴でナインは「地元と同じ米をこっちでも食べられるのは百人力です。納豆をかけたご飯はヤバイですよ」とニンマリ。吉田も「やっぱ米はあきたこまちだな!」と言いながらパクついているという。

 ここまで快進撃が続き「あきたこまち」が底をつきかけたが、15日にはさらに100キロ届いた。「これで決勝まであきたこまちがなくなる心配をせず、戦えます」と金足農ナインは燃えに燃えている。