第100回全国高校野球選手権大会は12日、2回戦4試合が行われ、第2試合では、関東の強豪・浦和学院(南埼玉)が仙台育英(宮城)を投打に圧倒した。初回に佐野(3年)の適時二塁打と足をからめた攻撃で2点を先制すると、3回にも矢野(3年)の長打などで2点を追加。さらに8回には蛭間(3年)が左中間にソロ本塁打を叩き込むなど攻撃の手を緩めなかった。投げては190センチ右腕の渡辺(3年)、永島(2年)、美又(1年)、河北(3年)と4投手で完封リレーを演じてみせた。

 この一戦には大きな意味があった。好投手・小島を擁した2013年夏の1回戦、仙台育英に10―11でサヨナラ負け。高校野球史に残る死闘となったこの試合で、エース左腕は途中、足をけいれんさせながらも182球を投げ、9回に力尽きた。そのときの思いを胸に戦った森監督は「5年前に小島一人に悲しい思いをさせてしまった。小島を最後に交代させることになったが、ボクシングで言うならセコンドの僕が最後に白タオルを投げた格好。後悔というか、ああいうふうにならないチームづくりができたのではないか。その真価が問われると思った」と目を赤くした。悲劇を繰り返すわけにはいかない。一人のエースに頼らない投手力に取り組み、継投策を完成させた。

 本塁打した蛭間も「リベンジの思いでした。あの試合のビデオを見たし、森先生が一番悔しさを味わったはず。絶対に勝とうと思っていた。OBの方たちが積み上げたもので僕らがここに来れている」と胸を張った。リベンジを果たし、6年ぶりの夏1勝。「校歌が歌えるっていいな」と笑顔を見せた指揮官は「勝負はこれからですね」と先を見据えた。