第100回全国高校野球選手権大会(5日開幕)の組み合わせ抽選会が2日、大阪市内で行われ、全56代表の初戦の相手が決まった。今年も球児たちの熱い戦いがいよいよ幕を開けるが、連日の記録的猛暑が続くなか心配されるのが熱中症対策だ。ドーム開催やナイター開催の声も上がるなか、当事者の球児、監督は現状をどう捉えているのか。本紙は抽選会場で緊急アンケートを実施した。

 記録的な猛暑を受け、甲子園の開催期間や時間帯、ドーム移転について、ちまたでは様々な意見が飛び交っている。

 そんな中、高野連の竹中雅彦事務局長(63)が本紙の独占インタビューに応じ「申し訳ないけど、今年は変えられない。来年以降はあらゆる可能性を視野に入れて検討していかないといけない」とし、変更の条件としては「プレーヤーズファーストですよ。選手が第一。選手がどうしても甲子園で、というならそれもプレーヤーズファーストなので」などと発言。これが1日発行の本紙紙面で報じられると、ネット上でも議論が展開されるなど大きな話題となり「猛暑の中での甲子園」に、世間が高い関心を寄せていることをうかがわせた。

 では「プレーヤーズファースト」の対象となる、当の選手たちは現状をどう感じているのか。

 全国制覇の経験もある強豪校の選手は「小さいころからの憧れなので、甲子園でやらないと意味がない。僕は実際に熱中症で倒れたこともありますけど、甲子園じゃないとやっぱりダメ。ベンチにクーラーは効いてますし、自己管理が大事だと思う」。また、連日記録的な猛暑日が続いた北関東地区の選手は「県大会では熱中症は出なかったけど、足をつるのはもうどうしようもない。正直、ちょっと不安はあります。夏の甲子園でやるために練習してきたので別の球場になるのは反対だけど、ナイターはありかも。プロ野球みたいでかっこいいし、思い出にも残ると思う」と話した。

「冷房ガンガンの京セラドームでやったって、ありがたみがない。甲子園のジリジリとした強い日差しの中でやるからこそ“ザ・夏”って感じじゃないですか。生暖かい浜風がなぜか心地いいんです。甲子園でやれるんだったら、僕は熱中症になって倒れたとしても本望です」という声まで。

 なかには「僕はこだわりはないです。西武ドームを“西武園”という名前に変えてやればいいじゃないですか」との意見もあったが…。

 結局、選手50人の回答は「甲子園でやるべき」が47人。「球場にはこだわらない」が3人で「ドーム球場に変更すべき」は0人だった。実に「94%」という圧倒的な支持率で、甲子園での開催継続を望む声が多く聞かれた。
 選手を預かる立場の監督の意見はどうか。

 強豪校の監督は「100年やってきて、今年以上に過酷な年もあったはず。高野連もできる限りのことはしてくれているし、昔と比べてクーラーで温室育ちの子が増えているのも事実。過保護的に対策するより、もう少し様子を見てもいいのでは」と慎重論。

 関東地区の監督は「この暑さが続くと、戦術面にも影響が出てくる。うちは去年は絶対的エースがいて、今年は4人の継投で勝ち上がってきましたが、今年の暑さでエース一人では絶対にここまで残っていない。エースと心中のようなチームでは勝てない時代がやってきますよ」と今後を分析した。

 いずれの場合も「責任者として、正直怖い部分もある。なるべく選手とコミュニケーションをとりながらやっています。(試合時間をずらした)京都大会のような工夫も必要なんじゃないか」とこの先の開催を不安視する声も少なくない。

 全国の高校球児にとって、甲子園こそが聖地であり、かけがえのない場所であることは紛れもない事実。それでも生死にかかわる問題ということもあり、判断は難しいところだろう。

 そうしたなかで、どういう対策をとっていくのか。選手たちの「生の声」を聞いた上での、高野連の判断はいかに。

【ファンも無理せずに…応援より健康!】心身を鍛え上げている球児にも厳しい今年の記録的猛暑は2日、岐阜県多治見市で最高気温40.2度を観測するなど収まる気配がない。スタンドから声援を送る応援団、ファンはどう対処すべきか。小まめな水分補給が第一だが、猛烈な日差しや高い気温はスタンドに座る限りは避けようがない。体調に異変を感じても応援する高校のチャンスや、試合の大詰めでは我慢するのではないか。場内アナウンスや学校側の注意喚起では不十分。徹底した自己管理で身を守るしかない。応援よりも健康が最優先だ。