若き主砲の“ハイブリッド打撃理論”とは――。巨人・岡本和真内野手(21)の快進撃が止まらない。プロ4年目の今季は初めて開幕スタメンを勝ち取り、今月2日にはついに第89代4番打者を襲名した。完全覚醒が疑いようもなくなってきた今、ファンの興味の一つは「誰が岡本を目覚めさせたのか」という点だろう。気になる疑問に背番号25が答えた。

 交流戦を終えてここまで全64試合に出場し、打率3割3分2厘、12本塁打、43打点の活躍に文句をつける者はいないだろう。ゲレーロ、マギーの両助っ人砲が不振に苦しむなか、岡本は今やG打線の中核に欠かせないピース。高橋由伸監督も絶大な信頼を置いている。

 ジャイアンツ球場で全体練習が行われた20日、サッカーW杯のコロンビア戦で決勝点を叩き出した日本代表FW大迫勇也(28)の活躍が話題となった。指揮官が岡本に望むのも、巨人を飛び越えて球界を代表する“ハンパない”打者として大成することだ。「菅野、坂本はプロ野球ではそんな位置づけ。そういう意味では(期待するのは)岡本じゃないの? 相手からそう思われるようになってくれれば」とさらなる成長に期待をふくらませた。

 ただ、岡本がこれほど一気にブレークすると予想した者はチーム内にも決して多くなかった。昨季までの3年間はほぼ二軍暮らしで、一軍での本塁打は1年目の15年に放った1本のみ。突然の覚醒の理由はファンの関心事となっている。

 思い返せばキャンプ中からコーチ陣だけではなく、岡本の周囲には数え切れないほどの大物球界OBが群がって助言を送っていた。その中に何か成長のヒントがあったのか。本紙が直撃すると、岡本はある2人の教えを上下ハイブリッドに取り入れて守り続けていると明かした。

「大勢の方のお話を参考にさせていただきましたが、技術的に今年意識しているのは2点です。まず上半身は二岡(智宏=打撃コーチ)さん。僕はバットのヘッドが投手側に入りすぎる癖があるんです。そこを真っすぐ立てていこう、と。下半身は(春季キャンプで臨時コーチを務めたOBの)松井(秀喜)さんから。軸足に重心を残すということですね」

 メンタル面はどうか。「もちろん(昨季限りで退団した)村田(修一)さんの存在はメッチャ大きい。言うまでもないことですけどね。オフの過ごし方では中村(剛也=西武)さんのお話も参考にしました。『まずはとにかく強く振れることが大事。細かい修正は実戦が始まってからでいい』と。だからキャンプ中はメチャクチャなスイングに見えたでしょう? 周りからは心配されましたが、ちゃんと考えてやっていたんですよ」

 大きな期待を寄せられた若手選手が周囲から数多くの助言を受け、迷走の末に潰れていったケースは多々ある。それでも「僕、受け流せるほうなんで」といたずらっぽく笑う岡本に関して、その心配は無用のようだ。