【赤坂英一 赤ペン】最近の巨人、チームの順位はさておいて、次期正捕手争いが面白い(頭に“次期”とつけたのは一応小林に敬意を払っての気遣い)。それぐらい、新人の大城(ドラフト3位・NTT西日本)が猛烈にアピールしている。

 5月30日の日本ハム戦では2年目の中継ぎ・谷岡にプロ初勝利をもたらし、打撃でも2安打3打点の大活躍。28試合目で早くも初めてお立ち台のヒーローインタビューを経験した。

 それだけ目立っていても、大城本人が口にするのは反省の弁ばかり。

「守備がふがいないんで、バットで取り返す気でやっています。守備は全部が反省点です。ただ、(精神的に)引きずると悪影響が出るので、切り替えていく。毎日試合が続くんで、ダメなことは翌日に引きずりません」

 守備が「ふがいない」「ダメ」と自覚しつつ、「毎日続く試合」に出場する気でいる姿勢が素晴らしい。この若者、謙虚なのか、強気なのか。

 その大城に負けてなるものかと、切歯扼腕しているのが3年目の宇佐見だ。昨季は初の一軍昇格当日、阪神・藤川からプロ初打席初安打、さらにDeNA戦ではプロ初本塁打となったサヨナラ弾をかっ飛ばし、たちまち4本塁打、打率3割5厘と大ブレーク。

「今年も早く一軍に定着してもらいたい」と高田二軍バッテリーコーチはこう期待をかけている。

「去年は投手(大竹)と入れ替わりの一軍昇格で、正直、5日ぐらいで二軍に逆戻りかなと思ったら、いきなり阪神の守護神から初安打でしょ。つまり本番に強いタイプなんですよ。リードとかキャッチングなど、捕手としての力量なら新人の大城よりも上。宇佐見はもう、本来なら二軍にいてはいけない選手です」

 昨秋キャンプで左手首を痛めた後遺症もあり、今季は開幕二軍スタート。打率1割台としばらく打撃で苦しんでいるが、内田二軍打撃コーチはこう分析している。

「ケガをして以降、足を大きく上げてタイミングを取るようになったのがよくなかった。トップができる前に身体が前に突っ込むから、自分のポイントで捉えられてない。そこを修正できればまた打てるようになるよ」

 その宇佐見、大城の下では、新人の岸田(ドラフト2位・大阪ガス)もチャンスをうかがっている。「彼らはみんな20代で、年齢も近く、刺激し合っているはず。これからのライバル争いが楽しみ」という高田コーチの言葉を信じて、今後の次期正捕手争い見守りたい。