巨人が交流戦開幕戦の日本ハム戦(29日、東京ドーム)を3―5で落とし、今季2度目の5連敗を喫した。

 流れを変える決断とはならなかった。由伸監督は開幕から不動の2番打者だった吉川尚を今季初めて8番に下げ、亀井を2番に据える新打線を組んだ。だが日本ハム先発・マルティネスを捉えきれず、巨人が放った坂本勇、ゲレーロ、亀井の本塁打はいずれもソロ。一方、先発の山口俊は初回に近藤、7回の西川と2本の2ランを被弾し、7回120球の奮投も4失点で4敗目となった。

 試合後の由伸監督は「終始、リードする形で試合ができなかった」。首脳陣の脳裏に浮かぶのは、昨季同時期に経験した悪夢の13連敗。今季2度目の5連敗に、ベンチの危機感は急上昇しており、村田ヘッド兼バッテリーコーチは「ズルズルいかんようにせんとな。一生懸命やるのは当たり前や。必死にやらんとアカン」とゲキを飛ばした。

 主力選手たちの顔からも笑みが消え、日に日にピリピリムードが増している。だが、今季は一軍の顔ぶれが大きく変わったこともあるのか、巨人独特の緊張感にも変化が表れている。個人的に好結果が出ていると、敗戦後でも勝ち試合のようなテンションで帰路に就く選手が目立つのだ。

 象徴的だったのが、この日21打席ぶりの安打となる8号ソロを放ったゲレーロの喜びようだった。特大の一発は、女優の吉永小百合がほほ笑むJR東日本の看板を直撃。「びゅう商品券100万円分」を手にしたゲレーロは大勢の報道陣に囲まれ「これで新幹線に乗り放題だね。東京―大阪間を100往復できる」と終始、上機嫌だった。

 ゲレーロにとっては、6日のDeNA戦(横浜)以来の快音だっただけに喜ぶのもわかる。ただ5連敗の試合後に、ガハハと大きな笑い声を響かせた“独演会”はシュールで、冷めた視線を送っていたナインがいたのも事実だ。

“鈍感力”がチームのマイナスになる可能性も否定できないが、昨年の13連敗中は黒星を重ねるごとにベンチは暗さを増した。ゲレーロの“鈍感力”がチームのムードを変えるかもしれない。もちろん、そんな最悪の状況になる前にバットで振り払ってもらいたいが…。