エンゼルス・大谷翔平投手(23)が、MLBを背負って立つ選手として、破格の期待をかけられている。MLBは現在、NBA(バスケットボール)やNFL(アメフット)に人気面で苦戦を強いられているのだが、そんな状況下で出現したスーパースター候補に、米メディアは大興奮。さらなるフィーバー拡大のため「日曜ローテーション固定」を切望する声が噴出している。一体どういうことなのか。

 投手としては13日(日本時間14日)のツインズ戦で6回1/3を3安打1失点11奪三振。今季4勝目はならなかったものの、デビューから6試合(32回2/3)で43奪三振は1962年のボー・ベリンスキーの38奪三振を抜き、エンゼルスの球団記録を更新した。また、初登板から6試合で11奪三振以上を2試合マークした新人は1908年以降では1試合20奪三振のメジャータイ記録を持つ98年のケリー・ウッド(カブス)以来、3人目の快挙となった。

 規格外の二刀流ルーキーは本塁打を打ち、登板するたびにメジャーの歴史を掘り起こすセンセーションを巻き起こし続けているが、その大谷の「スーパースター化計画」が一部米メディアから提唱されている。

 声の主はロサンゼルス・タイムズの名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者(37)。同記者は「開幕からここまで大谷がメジャーの歴史に類のない大活躍をしているのは間違いない。ただ彼を全米規模の大スターに押し上げるには人口密度の高い東海岸のファンにもっとそのプレーを見てもらう必要がある。その意味で今の日曜ローテーションはこのまま固定すべき」と大谷の“サンデー登板”を強く推奨している。

 その理由を同記者は「今のMLBには本当の意味で全国区のスター選手がいない。4大スポーツすべてを合わせたファン投票をした場合、NBAのレブロン・ジェームズ(キャバリアーズ)を筆頭に10位までの選手をNBAとNFLの選手が独占してしまう。その原因のひとつはMLB全体がその地域限定のローカルスポーツになってしまっていること。NBAのように定期的に全国中継されるスーパースターが不在」としている。

 そこで日本から来た救世主・大谷の登場だ。ヘルナンデス記者は「今の大谷は間違いなく全米中のスポーツファンが見たい対象。その欲求を満たしてさらにファン層を拡大するためには絶対にローテーションを日曜に固定すべき。幸い日曜日のエンゼルス戦はほぼすべて西海岸の午後1時(東部時間は午後4時)開始のデーゲーム。朝、教会に行って午後は大谷を見るという日曜日のサイクルを作ってしまうのはMLBにとってもいいこと。2~3週間前に許可を取って試合を中継するFOXやESPNにとっても予定を組みやすい」。

 ここまで大谷登板試合の全米中継はまだない。一度、FOXスポーツ1が全米中継する予定だった4月15日(日本時間16日)のロイヤルズ戦(カンザスシティー)は猛烈な寒波のため中止に。以後、大谷のローテーションが2試合続けて火曜日となり前回6日(同7日)のマリナーズ戦から2週続けて再び日曜ローテに戻った。全米での認知度をさらに深め「打倒・レブロン」を果たすためにも“サンデー・翔タイム”は必然とヘルナンデス記者は訴えている。