マリナーズのイチロー会長付特別補佐(44)が日本マーケットの“切り札”として期待されている。試合に出場しないながらもチームに帯同し、若手の指導に当たるというが、同時に日本マーケットの広告塔としての役割も大きい。来年の東京ドームの開幕戦(3月20、21日)で雄姿が見られる可能性だけでなく、開催の“PR大使”としてイチローの存在は欠かせない。
しかし、イチローの役割はそれだけではないという。今オフ、ポスティングシステムでメジャー移籍が有力視される西武・菊池雄星の獲得だ。メジャー関係者は「マリナーズは菊池がどうしても欲しい。昨オフに大谷(エンゼルス)獲得に動いたときにはグリフィー・ジュニアを交渉役にするという話もあった。イチローが球団の中枢にいれば菊池の交渉の大きな強みになるし、今後のアマチュア獲得にも武器になる。イチローが出てきて『いい環境だからおいでよ』と言えば、どうなるかということ」とキーマンになると見ている。
菊池がメジャー挑戦となれば争奪戦は避けられず、特に日本人に人気の西地区の球団は躍起になる。イチローが12年間にわたって在籍したマリナーズは「日本マーケットの重要さをわかっている。日本企業も邦人も多いし、力の入れようが違ってくる。イチローを残した大きな目的はそこにある。球団のお守りみたいなものですよ」(同)。選手としてはセミリタイア状態になっても存在感は絶大だ。