MLBが再び労使対立の緊張局面に入っている模様だ。米メディア「エッセンシャリースポーツ」によれば、現行の団体交渉協定(CBA)が2026年12月に失効するのを前に、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド氏(67)と選手会の溝が急速に深まっているという。
火種は、オーナー側が水面下で検討を進める「サラリーキャップ」構想だ。これに選手会は即座に猛反発している。MLB選手会専務理事のトニー・クラーク氏(53)は「競争力ある野球を望むという建前の裏で、過去にワールドシリーズ中止を招いた制度を再び押し付けようとしている」と主張。過去の事実として1994年8月12日からのロックアウト(活動停止)では232日間にわたり948試合が中止され、このストライキによって同年のワールドシリーズも消滅している。リーグは約5億8000万ドル(約919億円)もの損失を被り、ファンの信頼も大きく損なわれた。
この問題を象徴するのが、フィリーズの主砲ブライス・ハーパー内野手(33)の存在だ。13年3億3000万ドル(約523億円)のメガディールを締結しているMLBのスーパースターは、昨年7月のレギュラーシーズン中にフィリーズ本拠地シチズンズ・バンク・パークのクラブハウスを訪問したマンフレッド氏と対峙し、公然と対立。市場原理に基づく高額契約こそが実力の証明だと主張し、サラリーキャップ制に強く異を唱えた。
さらに不穏な動きが、年俸調停の場でも起きている。タイガースの左腕タリク・スクバル投手(29)と代理人のスコット・ボラス氏(73)は史上最大級の格差となる3200万ドル(約50億700万円)を要求し、球団提示の1900万ドル(約30億1000万円)と真っ向から対立。サイ・ヤング賞2年連続受賞という実績を盾に、従来の調停基準そのものへ疑問を投げかけている。
こうした丁々発止の流れ次第では、調停制度が実質的な「準FA市場」へ変質する可能性もはらんでいる。スクバル側とタイガースの対立の構図は選手会VSオーナー側にも派生しており、互いに一歩も引かぬ構えだ。
かつての失敗を知るファンにとって「再び過ちを犯すのか」という不安は現実味を帯びている。マンフレッドコミッショナー体制の下、MLBはスト回避という最難関の課題に直面している。メジャーリーグの未来を守れるかどうか――。その答えは、これから本格化する労使交渉に委ねられている。












