【球界こぼれ話】日本ハムの新外国人、古林睿煬(グーリン・ルェヤン)投手が今月11日の楽天戦(エスコン)で今季2勝目をプロ初完封勝利で飾った。

日本ハムの古林睿煬
日本ハムの古林睿煬

 古林は昨オフ、日本の複数球団が争奪戦を繰り広げた逸材。昨季の台湾リーグでMVPに輝いたこともあり母国でも注目度は高い。そんな「台湾の至宝」だからだろう。先月23日の来日初登板試合(楽天戦)には台湾からテレビ、新聞、ネットメディアなど計10社20人以上の報道陣がエスコンに集結。記者席が台湾メディアで埋め尽くされるほどの盛況ぶりだった。

 ところが、古林が初勝利を挙げた1日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)を取材した台湾メディアはわずか1人だけ。古林が快投を演じた11日の楽天戦(エスコン)はついに「0人」となってしまった。剛腕の日本デビュー戦には大挙して押し寄せた現地報道陣が、なぜ誰も来なくなってしまったのか。

 福岡に1人で来ていた台湾人記者に理由を聞くと「日本と台湾では取材姿勢が異なるので」と、こう説明してくれた。

「初登板時に大勢のメディアがいたように台湾での古林の人気、注目度は依然として高いです。でも、台湾には海外で活躍するプロ野球選手に対し、記者を派遣して長期間取材する習慣がありません。日本のメディアはドジャースで活躍する大谷選手に大勢の記者が付いていますが、台湾では1人の選手に張り付いて取材を試みること自体が珍しいので。文化の違いでしょうね」

 さらにメディア側の金銭的な事情も大きいという。

「野球は台湾でも国民的スポーツですが、メディア側に各チームを詳細に取材するだけの資金がないのも事実です。どの社も最低限のコストで運営をしているところがほとんどですから。実際、古林の日本初登板の際にエスコンに訪れていた報道陣の多くは自腹での来日でしたし。みんなお金にシビアなのです」

 台湾は昨年11月の「プレミア12」で優勝したこともあり野球人気が再燃中。今年3月に日本ハムが現地を訪れた際もファンの熱気は相当なものだった。だが、その人気にメディア側の取材が追いついていないのは複雑なところだろう。

 来年3月のWBC予選で台湾は日本と同組。代表チームは日本に次ぐ予選2位で準々決勝(フロリダで開催)進出を狙っているという。

「この大会で代表チームと古林が活躍すれば台湾の野球熱がさらに高まり、現場の環境も変わるかもしれません。我々も国内だけでなく海外のプロ野球を今以上に取材できるようになりたい。その意味でも古林と代表チームには頑張ってもらいたいです」(前出の台湾人記者)

 現地メディアの今後の動向は、古林の日本での活躍と代表チームの成績に託されているのかもしれない。