もはやチーム内に〝聖域〟は存在しないということか。日本ハムの新庄剛志監督(53)が主力選手の「先発外し」を敢行し続けている。23日の楽天戦(エスコン)は3―8で敗れて2連敗。貯金1のリーグ2位タイとはいえ、レギュラー格に好調といえる選手はいない。各メンバーを起用しながら調子を上げてくる選手を待つしかない現状もある。先々の戦いも計算に入れる指揮官の胸の内には、そんな深謀遠慮もあるようだ。

 ここ最近、日本ハムの先発メンバーに〝異変〟が生じている。19日のオリックス戦(京セラ)では開幕から全試合スタメン出場していた万波中正外野手(25)が、なぜかスタメン落ち。22日の楽天戦(エスコン)では今季主軸としてチームをけん引する清宮幸太郎内野手(25)も、故障でもないのにスタメンから外れた。

 23日の同カードでも、正遊撃手として指揮官が高い期待を寄せていた水野達稀内野手(24)までもが前日の試合で緩慢なプレーを見せたこともあり、先発出場を見送られるハメになった。代わってルーキーの山県秀内野手(22)が今季3度目のスターティングラインアップに名を連ねることになった。

 日本ハムは昨季までの徹底した選手育成のおかげで戦力の底上げに成功。今では各ポジションに複数のレギュラー選手がそろう。昨今の聖域なき争いは、そんなチームの戦力層を象徴するものだろう。ただ、新庄監督はシーズン開幕前から「オーダーは固定が理想」と語っていた。それが、なぜシーズン序盤から再びし烈な争いを課しているのか。その大きな要因は選手への「カンフル剤」に加え、シーズン後半戦を見据えた「準備」といえる。

 現在のパは昨季リーグ覇者・ソフトバンクが故障者続出もあり、まさかの最下位。この影響もあって首位から最下位までが3・5ゲーム差内にひしめく混戦模様となっている。となれば今のうちに戦力を精査しながら勝負どころとなりそうな中盤、後半戦に備える段取りを最優先させても何ら不思議ではない。

 新庄監督は開幕前の時点で「他のチームには5年ぐらいレギュラーを張ってる選手が何人もいる。でもウチにはいない」と話した上で、今季のリーグ展望について「今年は分からんですよ」と断言。「監督が3人代わって(各チームの野球が)ガラッと変わるから。(リーグの展望は)6月の18日ぐらいまで待ってください」と今季中盤までの混戦を予想していた。

 その見立て通りならば――。新庄監督の主力外しは、いわば選手に厳しい姿勢でハッパをかける〝劇薬〟。やはり理にかなっているといえそうだ。