プロ野球はセパ両リーグとも28日に開幕を迎える。昨季は日本ハムがパ2位に躍進。球団ではかねてダルビッシュ有投手(38=パドレス)や大谷翔平投手(30=ドジャース)らのポスティング移籍を認め、国内FA移籍も後押してきた。主力の流出は戦力低下につながりかねないが、なぜ移籍を容認し続けるのか。本紙の単独取材に応じた小村勝球団社長(59)が明かした今後の球団運営とビジョンとは――。
――昨オフは台湾出身の古林やFAで福谷(前中日)を獲得。資金豊富でも大物助っ人の獲得に動かなかった
小村社長 昨オフは補強にお金を使うより、若い選手や今いる選手のモチベーションを上げた方がいいという思いが球団にありました。皆さんが想像していた以上に年俸が上がった選手もいましたよね。外国や他球団から大物選手を獲得するというのも確かに鮮度感はある。でも、それだったら頑張った選手がしっかりお金をもらえる環境の方がいい。その方が結果的に選手のモチベーションも上がりチーム成績にもつながるはずですから。その意味で「選手の給料を大きく上げた」というのが最大の補強だったと我々は考えています。
――今季はもう補強しないのか
小村社長 補強は常に考えています。今のままでいい、という考えはないです。今後ケガ人が出るかもしれませんしね。シーズンが始まり補強ポイントが明確になれば行う可能性はあります。ファンの方々は今、強いファイターズ、チームを求めていますから。そのためにも資金的な面を含め、全力でチームをサポートしていくつもりです。
――ところで、日本ハムは主力選手のメジャー移籍やFAでの他球団移籍に寛容。戦力低下に直結しかねない
小村社長 我々は挑戦する選手を引き留めることはしません。よくファンの方々から「ファイターズはお人よし過ぎる!」とか「選手のポスティングを簡単に認めるな」というようなお叱りの意見をいただきます。でも、日本ハムには「チャレンジ・ウィズ・ドリーム」という企業理念があります。夢に向かって挑戦する人の後押しをしたい、伴走したいというスタンスなのです。これは井川(伸久)オーナーも同じ思いです。この思いがあるため、今後も選手の挑戦は常に応援したいと考えています。
――高校生がメジャー移籍を前提に入団しても構わない
小村社長 それでいいと思います。実際に昨年ドラフト2位で加入した藤田選手(琉生投手)は入団時からメジャー移籍を視野に入れています。私は彼の気持ちを応援したいです。各球団ごとにメジャー移籍やポスティングなどの考え方は異なると思いますが、私はそれぞれのチームに特徴があっていいという考えです。少なくともファイターズは選手の夢を応援し続けていきたい。その方がいい選手も集まります。結果的にチームもより強くなると信じています。
――確かに、流出以上に他球団の主力級が移籍してきている
小村社長 伏見選手や山崎選手、今年新加入した福谷選手もそうですが、どの選手も他球団との競合の末、最終的にファイターズを選んでくれました。少し前のチームでは考えられなかったことですよね。ファンの中には北海道の地元選手や生え抜き選手をずっと応援したい気持ちがあるとは思います。そのあたりは考慮しないといけませんが、チームの活性化のためには選手の海外挑戦や移籍は認めてあげた方がいい。我々はそういうチームづくりを今後もしていきたいと考えています。
――最後に。昨年6月にくも膜下出血で倒れ、一時意識不明になりながらも数か月で現場復帰。ナインやファンから「奇跡の生還」と言われている
小村社長 もう体は大丈夫です。本当にその節は皆さんにご迷惑をおかけしました。ああなったからには「ゆっくりすべき」という人もいますが、私の場合は今度また倒れるまで北海道の方や球団、ファンの方々に対してお返ししなければという気持ちです。一回倒れて、みなさんに助けてもらった体ですからね。私もできる限りのことはするので、ファンの方々もファイターズを温かく見守ってください。












