大谷翔平投手の活躍で今やすっかり定着した“二刀流”。そんな中、「W杯日本代表と忍者」という前代未聞の二刀流を実践しているのがNINJA NATTAN(にんじゃ・なったん=34)だ。普段は忍者の格好をして生活している一方、7月に行われるローラーダービーW杯日本代表にも選出されている。さらに吉本興業の養成所・NSCを卒業した芸人としての顔も。謎だらけの女性に話を聞いてみた。

忍者姿のNINJA NATTAN
忍者姿のNINJA NATTAN

 NATTANは、7月3日から6日までオーストリア・インスブルックで開催される「ローラーダービーワールドカップ2025」に、日本代表選手として選出されている。

 日本ではほとんど知られていないローラーダービーは米国発祥のスポーツで、欧米では人気があるという。日本では「ローラーゲーム」として1970年代前半にテレビ中継され、大人気となった時期もある。年配の人の中には覚えている人もいるだろう。

 NATTANは「ルールはほぼ同じです。ただローラーゲームは“魅せる”要素が強かったのに対し、ローラーダービーは純粋なスポーツ」と話す。

 ローラーダービーのルールを簡単に説明すると、ローラースケートを履いた選手が5人ずつトラックで行うもの。ポジションは、得点を取るジャマー、敵のジャマーを妨害するブロッカーの2つ。NATTANは「私はブロッカーです。コンタクトスポーツで体をぶつけて敵のジャマーをブロックするので生傷は絶えない。日常茶飯事ですね」。

 ローラーダービーを始めたのは2017年だが、それまでの経歴も異色だ。まず高校卒業後の09年には、芸人を目指して吉本興業の養成所・NSC大阪校32期生として入学した。

「海原やすよ・ともこさんが好きで、しゃべくり漫才をやりたくて。女性の相方もできて『きゃっぷ』というコンビを組んだけど、うまくいかなくて解散しました」

 その後、3年ほど辞めた時期もあるが、芸人を続けてきた。途中で拠点は大阪から東京に移している。

 そのうえ現在の仕事は「忍者レンタル」という、なんとも不思議なもの。15年には「第7回伊賀流手裏剣打選手権大会」団体戦優勝という実績もある。「私、普段から忍者の格好をして生活してるんです。『忍者レンタル』は、まあ依頼があれば何でもやりますというもの。依頼は飲食店のお手伝いが一番多いですね。あと一緒に食事するとか。私、小さいころから忍者になりたかったんですよ」

 芸人や忍者をやりながら、ローラーダービーを始めたのは17年のこと。「特技があるとテレビに出られるかな、と。スポーツ好きだったんで、ローラースケートをやろうかと思って探したら、ローラーダービーが見つかった。『日本代表になって日本を背負いたい』という夢はずっとあったんですよ」

 ローラーダービーはもちろん、ローラースケートもそれまでやったことがなかったが、始めた翌18年に英国・マンチェスターで行われたW杯日本代表に選出された。「まあ競技人口が少ないのでね。日本でやってるのは米国人含めて100人くらいかな? 米国人は米軍基地で働いている人が多いですね」

 ただ18年のW杯は、代表に選出されながら試合出場はかなわなかった。「やっぱり一番ヘタでしたから。でも次は絶対にW杯で試合に出たいと思って、これまで続けてきました」

 現在の悩みは、忍者での収入がかなり少ないため、W杯の遠征費用が不足していること。そのためクラウドファンディングで支援を求めている。

「私と同じく日本代表のSailor Boom、BADBADTZ―HARUと3人でクラファンを立ち上げました。目標は48万円で3月末まで受け付けてるので、よろしくお願いします」

 忍者とローラーダービーW杯日本代表という二刀流の成功を祈りたい。

 ☆NINJA NATTAN 1990年11月19日生まれ。京都府出身。本名・森穂奈実。身長160センチ、体重55キロ。NSC大阪校32期生。卒業後、芸人を続けながら2017年にローラーダービーを始め、W杯2018、2025の日本代表に選出される。仕事は忍者レンタル。15年に「第7回伊賀流手裏剣打選手権大会」団体戦で優勝。23年12月にスペイン人男性と結婚した。