綱取りに必要なものとは――。大相撲春場所千秋楽(23日、大阪府立体育会館)、大関大の里(24=二所ノ関)が決定戦で幕内高安(35=田子ノ浦)を送り出して3場所ぶり3度目の優勝を達成。大関では初めて賜杯を抱き、次の夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)では自身初の綱取りに挑戦する。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は千秋楽の相撲内容を高く評価する一方で、横綱を目指す上での課題を指摘した。

 大の里が綱取りへの挑戦権を手に入れた。12勝3敗同士で迎えた高安との決定戦。立ち合いで相手に左を差されても、構わず前へ出る。右の上手をがっちりつかんで体を寄せると、最後は送り出して勝負あり。優勝を決めた瞬間、土俵上で小さくうなずいた。昨年秋場所で2度目の優勝を果たして大関昇進。その後は9勝、10勝と振るわず、横綱昇進も豊昇龍(立浪)に先を越された。

 大の里は優勝力士インタビューで「苦しい場所が続いた中での優勝ということで、本当にうれしく思います。大関になってから思うような成績を残せない中、優勝できてよかった。自分の中で初日の入りから自信がありましたし、いけるんじゃないかなという自信もあった。優勝という成績で終われて本当にうれしい」とかみしめた。

 大関として初めて賜杯を抱き、来場所は初の綱取りに挑む。秀ノ山親方は、今場所の大の里について「誰にも負けない、圧倒的な馬力が大の里の強み。千秋楽の本割の結びで琴桜、決定戦で高安に勝った相撲は、どちらも相手に圧力をかけながら、自分の馬力を生かして前に出る相撲が取れていた。十分に優勝に値する内容だったと思う」と高く評価する。

 一方で、15日間を通じて課題も浮き彫りとなった。秀ノ山親方は「右を差せなかったり腰高になって相手に低く攻められると、まともに引いてはたきにいってしまうところがある。立ち合いで後手を踏んで引き技に頼ると、あの大きな体と馬力は生かせない。稽古の段階からしっかりヒザを曲げて重心を低く保てるようになれば、相手に押されることはない」と指摘した。

 その上で「もともとのスケールの大きさと、土俵に上がった時の声援は〝横綱級〟。チャンスを生かせるように、来場所はさらにレベルアップした姿を見せてほしい」とエールを送った。

 1月の初場所後には豊昇龍が横綱に昇進。ただ、和製横綱となると、大の里の師匠でもある稀勢の里(現二所ノ関親方)が2019年初場所で引退して以降、しばらく不在が続いている。

 それだけに、角界内で大の里に対する期待は大きい。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「優勝は立派ですよ。(横綱に)早く上がってほしい」と熱望する。審判部長の高田川親方(元関脇安芸乃島)も「結びの一番も、決定戦もいい相撲。優勝というのは大きい。(来場所は)楽しみな場所」と期待感を口にした。

 大の里は綱取りがかかる夏場所へ向けて「来場所が大事になってくると思う。またもう一度、引き締めて頑張りたい。上への意識? 頑張ります」と意気込んだ。昭和以降最速の初土俵から所要9場所で大関になった大器は、一気に番付の頂点まで駆け上がるのか。