「今後は今以上に存在意義が高まるイベントになる可能性はありますね」

 球界関係者の一人が、こう指摘するのは毎オフにNPBが行う「12球団合同トライアウト」のことだ。今年も15日に日本ハムの二軍本拠地・鎌ケ谷スタジアムで開催され、投手41人、野手18人の計59選手が参加。阪神・高山俊外野手(30)やソフトバンク・高橋純平投手(26)、DeNA・田中俊太内野手(30)ら名のある選手たちも生き残りをかけ、最後のアピールを繰り広げた。

 とはいえ、NPBのトライアウトと言えば「狭き門」。仮にトライアウト当日に好結果を残してもNPB球団と再契約できる選手はごく僅かだ。こうした背景から実績ある選手やべテランは意図的に参加を回避することも珍しくなく、トライアウトの「形骸化」が問題視されることもあった。

 だが、ここにきてそんな空気が一変し始めている。トライアウト参加選手が野球を続けられる「受け皿」が増加傾向にあるからだ。その一つが「新規球団」の発足。来季からプロ野球二軍公式戦には静岡の「ハヤテ223(ふじさん)」と新潟の「アルビレックス・ベースボール・クラブ」という2球団が参加する。

 さらに世界に目を向ければ、野球になじみの薄かった中東と南アジアを拠点とする新たなプロリーグ「ベースボール・ユナイテッド」もスタートしており、必然的に日本人選手の活躍の場が広がる。すでに一部の球団は日本人選手の獲得に意欲をのぞかせ、実際に先月23日(日本時間24日)の同リーグ・ドラフト会議でもモナークス(パキスタン)が、今季はDeNAでプレーしていた平田を指名するなど大きな話題を呼んだ。それらとの〝橋渡し〟の機会にもつながるトライアウトは選手の重要なアピールの場となる可能性が高い。

「来季から二軍公式戦に参加する2球団(静岡、新潟)は揃ってトライアウト参加選手を大量に獲得する方針。今後は『トライアウトに参加しても意味がない』という空気は消滅していくはず」とは冒頭の関係者。

 NPB復帰だけにとどまらず、あわよくば世界へ飛躍するための足がかりに――。そんな〝大逆転プロ野球人生〟への可能性も秘めるトライアウト。やはり侮れないか。