杭州アジア大会サッカー女子決勝は6日に行われ、日本が北朝鮮に4―1で勝利し、2大会連続3度目の優勝を飾った。今回の日本はA代表にあたるなでしこジャパンを名乗れないBチームで苦戦も予想されたが、圧巻のゴールラッシュ。対する北朝鮮は、問題視されているラフプレーを全面に押し出すことはなかった。その裏には、北朝鮮当局による同国選手への〝教育〟が徹底されていない可能性もありそうだ。

 詰めかけた3万7166人のほとんどが北朝鮮を応援。完全アウェーの雰囲気の中、試合開始前の国歌斉唱時に、君が代が流れるとブーイングが起きるほどだった。

 立ち上がりから北朝鮮に押し込まれる展開になったが、前半10分にMF中嶋淑乃(広島)が先制ゴール。前半のうちに追いつかれるも、後半20分に左CKからFW大沢春花(千葉)が頭で合わせて勝ち越しに成功すると、さらに2点を追加し、終盤の猛攻もチーム一丸で守り切った。

 勝ち越しゴールの大沢は「アウェーでブーイングもあって最初は緊張したけど、やってやろうという気持ちで入って結果が出てよかった」と胸を張った。規定によりA代表の愛称・なでしこジャパンとして活動できなかった今回のチームだったが、過去に何度も苦戦してきた相手にしっかり結果を残した。

銀メダルを授与され、肩を落として引き上げる北朝鮮女子チーム(ロイター)
銀メダルを授与され、肩を落として引き上げる北朝鮮女子チーム(ロイター)

 一方の北朝鮮は、懸念されていた荒いプレーは目立たなかった。焦りからか3点リードされた後半27分以降にようやく散見するようになり、同37分にはDF田畑晴菜(マイナビ仙台)が後ろから倒され、北朝鮮選手にイエローカードが提示された。とはいえ、出されたカードは1枚で全体的には普通の試合と言える内容だった。

 韓国メディア「デーリーNK」によると、今大会の北朝鮮選手団は「韓国、日本、台湾の選手と試合をする時は戦争をするような気持ちで一つも譲歩もしてはならない」と徹底的に教育を受けたという。相手を倒しても、手を差し伸べて起こしてあげたり、謝るのはNGで、頭を下げるのは屈辱的な行為だと仕込まれたとのことだ。

 韓国との準々決勝ではその教えを守った格好だが、日本との決勝で不発だったのは、完全に浸透していなかったとも考えられる。実際、同メディアによると、北朝鮮内のサッカークラブ・平安南道体育団の選手たちが、北朝鮮女子がアジア大会で韓国に勝ったことを引き合いに「愛国心を持って献身的な努力をしなければならない」などと教えを受けたが、冷ややかな反応もあったという。

 北朝鮮選手団にも、当局の意向に染まり切っていない選手が存在する可能性は大いにありそう。とはいえ、韓国メディア「エクスポーツ」は「この試合でも一部の選手たちが激しいもみ合いとタックルで日本選手たちを圧迫したが、今回は全く効果がなかった。決勝だけで4ゴールを奪われ崩れた。完全な惨敗だった」と指摘。ラフプレーすら出せないほど、日本が強かったというのは間違いない。