民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏がクーデターに失敗した。そのプリゴジンの乱に〝協力〟した疑いで〝ハルマゲドン将軍〟ことロシア軍副司令官のセルゲイ・スロビキン氏が逮捕されたという。ロシア紙モスクワ・タイムズが29日、報じた。

 同紙に国防省関係者が「スロビキンはクーデター失敗の翌日25日に逮捕された」と明かしたもの。

 クーデター前、スロビキン氏はプリゴジン氏がセルゲイ・ショイグ国防相とワレリー・ゲラシモフ総司令官を拘束しようとしていたという。しかし、連邦保安庁(FSB=KGBの後継機関)がその動きを察知、そのため、プリゴジン氏がクーデターを起こし、23日にモスクワから1000キロ離れた都市ロストフナドヌーを占拠し、モスクワへの進軍を始めた。スロビキン氏はこのプリゴジン氏の行動への協力を打診されていた可能性が高く、少なくともプリゴジン氏の計画を知っていたことは間違いないという。

「プリゴジンの文脈において、反乱中にスロビキンはプリゴジン側を選んだようだ」(同)

 しかし、〝プリゴジンの乱〟に勝算がないと見たスロビキン氏は、プリゴジン氏に対して投降するよう訴えた。孤立無援であることを知ったプリゴジン氏はモスクワまで200キロのところで進軍停止を発表し、撤収した。

 クレムリンはスロビキン氏を〝プリゴジン連合〟とみなし、逮捕したという。

 また、ウクライナの法執行機関と連携しているメディア「ラジオ・スヴォボダ」は「スロビキンは家族と3日間、連絡を取っていない。しかし、ハルマゲドン将軍は逮捕されていない。プリゴジンの乱についての経緯を文書にまとめているところだ」と伝えた。