J1神戸は25日、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)が退団すると発表した。7月1日のホーム札幌戦がラストマッチとなる。

 この日、兵庫・神戸市内で行われた会見に出席したイニエスタは、涙を浮かべる場面もあった。2018年に神戸に加入したが、「5年間を振り返ってみると、良い時も苦しい時もあった。自分が神戸に来た時に目標として掲げていたタイトル獲得の達成だったり、ACLへの2度の出場だったり、さまざまな歴史を刻んできた。と同時に、物ごとが思うようにいかない、昨季のように苦しい時期もあったが、そういった経験がチームと仲間たちをより強くしてくれたと思う」と語った。

 神戸退団後も現役生活を続ける意向だ。「自分はここで引退する姿を想像してきたが、時に物ごとは希望や願望通りにいかないものだ。まだまだプレーを続け、ピッチに立ち続けたいという思いがある。この数か月間も激しいトレーニングを重ね、試合でプレーし、チームに貢献する準備はできている感覚でやってきた」

 本人の思いとは裏腹に今季のリーグ戦への出場はわずか3試合。しかも、いずれも後半途中からだった。出場機会激減の中、現役続行を前提とすると、このままで終わるわけにはいかない、との考えに至ったようだ。

「それぞれの歩む道が分かれ始め、監督の優先順位も違うところにあると感じ始めた。ただ、それが自分に与えられた現実であり、リスペクトを持ってその現実を受け入れた。最終的には自分の競技面での現実と、プレーし続けることに対して感じている情熱を掛け合わせた結果、ここを去ることがベストの決断だということをクラブとの話し合いの中で決めた」

 今後に向けて「正直言うと、自分でもまだわからない。ここでの時間をまっとうし、そこからどんな可能性が出てくるか、どういった扉が開かれるか見ていきたい」。さらに「サッカー選手としてプレーしながら引退したい気持ちが強い。ここではそれが難しい状況。そういった場所を見つける努力をしたい」と〝理想の引退〟も口にした。