“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、バラエティー番組に数多く出演し、長い間売れ続けているガンバレルーヤの人気の秘密に迫ってみました――。
ガンバレルーヤさんは、平場の安定感がバツグンというイメージがあります。なぜこんなにもテレビでの対応がうまいのでしょうか?
ガンバレルーヤさんには、あまり関西のイメージはしませんが、実は大阪NSCを2013年に卒業したコンビです。35期生で、同期にはゆりやんレトリィバァさん、からし蓮根さんなどがいます。ただよしこさんは愛知県、まひるさんは鳥取県出身なので、あまり関西の感じがしないのでしょう。
大阪の芸人は「大阪と東京で2度売れないといけない」とよく言われますが、この2人はちょっと特殊です。17年に日本テレビの「内村てらす」に1度出演しただけでレギュラーを勝ち取りました。その後すぐに上京すると、ほかにもテレビの仕事がたくさん来たんです。
要は、最初から平場の強さが潜在能力としてあったということ。ただテレビのトークだけがうまいのかと思ったら、実はネタのレベルも高い。女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では18年に決勝進出されています。ただよしこさんが下垂体腺腫で手術を受けるため、残念ながら決勝は辞退してしまいましたが、間違いなくネタも面白いです。
気負いがないところもガンバレルーヤさんのすごいところ。若手芸人は、テレビに出るとどうしても「爪痕を残さなければ!」と思いすぎて普段より力が入り、空回りしてしまうことも少なくありません。なのにどうしてそんなに自然体でいられるのか? 周りが笑っている時は2人も一緒に笑っている。慣れないと周りが笑っても、自分だけ何を言おうか必死に考えてしまうが、全くそれがない。
またガンバレルーヤさんはずっと仲がいい。長い間、コンビで活動するといろいろなことがあります。特にガンバレルーヤさんくらい売れていると、仕事でうまくいかない時も常に一緒にいるので、どうしても相方のせいにしてしまうことがあると思いますが、そういうところは一切見られません。
この2人が先日、日本テレビのバラエティー番組「しゃべくり007」にゲストで登場していました。観覧席にはよしこさんの父と母、まひるさんの祖母がいらっしゃっていました。
見ていると、ご家族も自然体でお話がうまく、スタジオを驚かせていました。チュートリアルの徳井義実さんに「おばあちゃん、緊張という概念はないんですか?」と言わせてしまったぐらい。2人とも常に自然体なのは、こういったご家族の中で育ったことで、自然と肝が据わってきたのだと思います。
ちなみにまひるさんが、両親に怒られたのは人生で1回だけだそうです。その理由も「網戸のままクーラーつけてたら怒られた」。飛び蹴りされたそうですが、それもほほ笑ましいエピソードです。ご両親に愛情たっぷりに育てられたおかげで2人とも人間ができており、相手への配慮ができるのでコンビ仲もずっといいのでしょう。
よく「売れている人はいい人が多い」と言いますが、ガンバレルーヤさんは本当に人柄がいいのだと思います。幼少期はどちらもすごく恥ずかしがり屋だったそうですが、それが今の謙虚な姿勢につながっている。
ちなみにまひるさんは、映画のストーリーや国語の教科書の物語を丸暗記できるという、とんでもない記憶力の持ち主だそうです。映画は2時間まるまる記憶できる。一方のよしこさんは、高校の時に同級生の女の子と「ライトアップ」というコンビ名で漫才をやっていたので、このころからネタをつくる能力があったのだと思います。
2人はもともと知り合いだったわけではなく、NSCで出会ったそうです。お互いに最高の相方と出会えたわけだから、ともに強運の持ち主なのでしょう。老若男女から愛される才能を持っている、相性抜群のガンバレルーヤさんをこれからも見続けていきたいと思います。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。