ラブコールは届くか――。陸上の東京スプリングチャレンジ2023(22日、国立競技場)、男子200メートル決勝は、100メートルの元日本記録保持者・桐生祥秀(27=日本生命)が20秒88で優勝。約10か月ぶりとなる国内復帰戦を最高の形で締めくくった。

 向かい風に多くの選手が苦しむ中でも焦らなかった。スタートから抜け出すと、コーナーを軽快に走りぬいてトップでフィニッシュ。「久々に優勝したので、うれしい。アキレス腱をケガしたり、いろいろあったときから優勝が遠のいていた。久々に1日で2本走れて優勝することができた」と笑みを浮かべた。 

 この日は珍しくサングラスを着用してレースに出場。その意図について問われると「僕は(大手サングラスメーカーの)オークリーがスポンサーについていないので、200で『桐生をスポンサーにつけたいな』と思ってもらうためだけにつけている」とニヤリ。その上で「次のレースで外していたら(スポンサーの)依頼が来なかったってこと。あとはカッコいいからかな。100ではつけることはあまりないが、200でサングラスをつけて走ったら(みなさんに)覚えてもらいやすいと思ったので」と笑い飛ばした。

レース後には即席サイン会を行った
レース後には即席サイン会を行った

 冗談を交える余裕があるのは、走りに手応えを感じているからこそ。レース後の即席サイン会では、サインをもらったファンが涙する場面も。さらにレースでつけたゼッケンは「じゃんけんするぞー」とじゃんけんで最後まで勝ち残ったファンにプレゼントするなど、数々の〝神対応〟を見せた。

 来夏にはパリ五輪が控えており「まだざっくりですけど(代表を)狙ってみたい」と気合十分。日本人初の100メートル9秒台ランナーに、復活の予感が漂っている。