〝小技戦法〟が冴えまくった。第95回記念選抜高校野球大会は19日、甲子園で行われ、第2日第1試合で東邦(愛知)が鳥取城北を6―3で下し、前回優勝した2019年以来、4年ぶりの勝利を挙げた。

 センバツ最多5度の優勝を誇る東邦が鳥取城北の追い上げに苦しみながらも、初戦を突破した。2回に藤江の遊撃強襲による適時二塁打で先制。4回には中日・石川昂の弟で主将の瑛貴が中前打を放つと、そこから2連続のバント安打で無死満塁の好機をつくり、ここで南出の右前適時打で2点を追加した。さらに一死二、三塁から宮国がスクイズを決めて、この回に3点をもぎ取った。

 1点差に迫られた7回にはすぐさま1点を取り返すと、8回にも内野安打とバント安打に敵失が絡み1点を奪って逃げ切った。終盤の貴重な追加点に山田監督は「取られた後、しっかりと加点できたのは大きかった。そこで選手が気持ちを切らさずに、攻めの気持ちを持ってたことがとても良かった」とし「初戦なのですべてがうまくいくとは思っていない中で、しっかり選手が頑張ってくれて、粘ってくれた。まず初戦でウチの戦いができたのでは」と選手を称えた。

 内野安打やバント安打、スクイズなど小技を駆使した攻撃について指揮官は「打撃はそんなにいいと思わないので、そういったところで、相手をかきまわしながらやることが大事かなと常日頃から言っている。うまくバントしてくれたと思う」と納得顔。その上で「しょぼかったですけど(選手に)『全然それでいいぞ。クリーンヒットは出ないぞ』っていう話はしていたので、全然しょぼいヒットばっかりだと思うが、それが良かったかな」と振り返った。

 24日の2回戦に進出した東邦は7日目第2試合で高松商(香川)と対戦する。