第5回WBC1次ラウンドB組の侍ジャパンは、12日のオーストラリア戦(東京ドーム)に7―1で快勝し4連勝。無敗でB組首位通過を決め、16日の準々決勝でA組2位のイタリアと対戦することになった。この日も「3番・DH」で先発出場した大谷翔平投手(28)は、初回に先制3ランを放つなど打線をけん引。だが、その一方で所属するエンゼルスのフィル・ネビン監督(52)が大谷の準決勝、もしくは決勝での登板を否定したことで、チーム内に少なからず動揺が走っている。

 鮮烈の「WBC1号弾」だった。初回無死一、二塁の第1打席。大谷は右中間席に自身の顔が映し出されている広告看板へ先制3ランをぶち当てた。

 大谷の衝撃弾で勢いづいた侍打線は10安打7得点で、オーストラリアに圧勝。試合後のお立ち台では、自身WBC初本塁打について「子どものころからずっと夢見ていたし、本当に早く打ちたいなと思っていた。何とか1本打てた。また次の試合以降も打てるように頑張りたい」と喜んだ。

大谷が3ランの打球をぶつけた自身の写真入りの看板
大谷が3ランの打球をぶつけた自身の写真入りの看板

 順当に1次ラウンド無敗で準々決勝に進出した侍ジャパン。3大会ぶりの世界一奪回へ視界良好といったところだが…。そうした流れに水を差しかねないニュースが海の向こうから飛び込んできた。エンゼルスのネビン監督が11日(日本時間12日)にWBCで大谷の次回登板が準々決勝になり、米国で開催される決勝トーナメントには登板しない予定であることを〝暴露〟したからだ。

 MLB公式サイトやアナハイムの地元紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」など複数のメディアが同監督の言葉として伝えたところによれば、大谷のWBCでの登板は準々決勝が最後となり、米国で行われる準決勝、決勝に進出した場合は打者として出場するという。

 チーム復帰後は24日(同25日)のパドレスとのオープン戦で先発し、30日(同31日)に行われるアスレチックス戦で開幕投手としてマウンドに立つ予定となっており、ネビン監督は「そのようにオオタニのスケジュールが挙行されていくと、われわれは認識している」と明言したという。

 オーストラリア戦の試合前会見に出席した栗山監督は、ネビン監督の発言について「聞いているか?」と質問されると「いや、ええと…すいません。そういう話がされたということですか。あ、わかりました。はい」とだけ答えるにとどめた。その表情は明らかに困惑していた。

エンゼルスのネビン監督(ロイター=USA TODAY Sports)
エンゼルスのネビン監督(ロイター=USA TODAY Sports)

 侍ジャパン関係者も「さすがにこのタイミングでネビン監督の発言はあり得ないし、フェアじゃない」と憤り、こう続けた。

「こうやって内情をバラされてしまうと、こちらとしてはどうにもならなくなる。大谷が決勝トーナメントで投げる可能性に含みを持たせておけば、対戦チームにプレッシャーを与えることもできた。準決勝で米国代表と対戦する可能性もあることを考えれば、やはりネビン監督は向こう(米国代表)側の人なのかと思ってしまう」

 関係者の話を総合すると、米国代表にはそうした制限はない模様。そんなこともあり、球界関係者は「せっかくWBCが国際的に盛り上がろうとしているのに…。まだまだ米国内ではWBCがプレシーズンマッチとしてとらえられている証拠だろう」と肩を落とした。

 こうなったら「投手・大谷」抜きでも世界一になるしかない。