武藤敬司引退興行が21日に東京ドームで行われ、新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカ(35)がノアのGHCヘビー級王者・清宮海斗(26)とのシングル戦で貫禄勝利を収めた。

 新日本の1月横浜アリーナ大会で遺恨が勃発した両者には、オカダの対戦拒絶や会見ボイコットもあり不穏な空気が充満していた。さらに前日まで「30分1本勝負」と発表されていた試合時間は、当日になって清宮の要求が認められ「時間無制限1本勝負」に。団体最高峰王者の完全決着戦となった。

 右腕への一点集中攻撃にさらされたオカダは、レインメーカーにカウンターのシャイニングウィザードを浴びて窮地に。タイガースープレックスホールドを完璧に決められるが、それでもプロレス界のトップの意地で3カウントは許さない。

 突進してきた清宮をキャッチすると開脚式ドライバーからレインメーカーを発射し一気に逆転。さらにカウントの途中で清宮を引き起こすと、延髄斬り、変型エメラルドフロウジョンで畳みかける。最後は2発目のレインメーカーで沈めた。

 試合後のバックステージでは「さすがGHCヘビー級王者といったところですか。気合は認めますよ。今日も(試合時間が)無制限になったんでしょ。心意気は買いますよ。決着をつけるんだって。いいじゃない。しっかり決着もついたし。ただね、経験が違うんですよ、こっちは。東京ドームで何回もメインイベントやってますし」と清宮を認める一幕も。「清宮選手が僕のところにたどり着いた。そこだけは評価してもいいんじゃないですか。ただもう顔面蹴るのはやめてよね」と余裕をのぞかせた。

 オカダ自身は11日大阪大会で鷹木信悟を相手に初防衛、18日(日本時間19日)に米国・サンノゼ大会で棚橋弘至を下しIWGP世界王座V2に成功。長距離の移動から20日に帰国し翌日のシングル戦という超ハードスケジュールだった。「ある意味で僕も強くしてもらいましたよ。いい経験でした」と振り返りつつ「清宮選手はね、もう泣くなよって。この戦いに向けていろいろな経験もされたと思うし、いろいろなブーイングとかもあったと思う。そういう経験は生きるから。またその経験を生かしてノアを盛り上げていってください」とエールを送った。

 再戦の可能性を問われると「ないです」とキッパリ。「決着ついたし。ノアさんはおなかいっぱい。新日本プロレスをしっかり盛り上げていかなきゃいけないと思うし。今日の結果でまたすぐやりたいと思うことはないと思うし」と、今後は王者としてホームリングである新日本の戦いに専念する意向を明かした。