こんにちは、2022東スポミッドナイト競輪アンバサダーの太田理恵です!

 昨年末にはグランプリが行われました。脇本雄太選手(33=福井)の強さは言うまでもなく、鐘で仕掛けてまくり切り古性優作選手(31=大阪)を振り切ったのは圧巻でした。しかし個人的にMVPを挙げるのであれば、松浦悠士選手(32=広島)を挙げたいです。

 北日本勢をすんなり駆けさせたくない思いはみんなある一方、優勝を狙うために脚は温存したいと思っていたはず。「脚を使ってでもレースを動かしたい」というコメント通りに序盤から動いたのが松浦選手。単騎ながら残り5周で番手に追い上げに行った時、優勝を狙っている空気感をひしひしと感じました。

 レースの際に具体的なコメントを出してくれることが多いのは松浦選手で、できる限りコメントに忠実な走りをしてくれるのも松浦選手だと思います。それが松浦選手のファンが多い理由の1つなのだと思います。

 そしてグランプリの裏側で、今年も激しい代謝争いが行われました。グランプリ発走の10分前、代謝ボーダーで松山ナイターを走ったのは海地成仁選手(引退=80期)。このままでは代謝となってしまうため、少しでも点数を上げたい状態での補充レース。点数を上げても厳しい状況の同県の伊藤貴史選手(引退=97期)が同じく補充で参戦し、残り2周から高知3車ラインでしっかりと出切っての先行となりました。

「伊藤貴史といえば、やはり先行です」の実況で、ラストランなのだなあと感じました。そしてまくってきたラインを、3番手の赤松秀展選手(50=高知)が外に振ってブロック。通常は内を締める3番手の選手が、この時期ばかりは番手選手のような動きをすることがありますが、これも期末のチャレンジ戦の風物詩ですよね。海地選手は無事1着でしたが、その後のレースで別の選手が点数を上げ、実質このレースが伊藤選手、海地選手ともに引退レースとなってしまいました。

 この最後の代謝争いとグランプリが開催された十数分の間には、競輪がぎゅっと詰まっていました。

 海地選手のその前の別府ミッドは、2日目の一般戦で4車ラインの番手で前と連係が乱れ2センターでは5番手になるも、最後は直線で中を割って3着。この直線の追い込みは、期末に向けて仕上げてきたのを感じました。別線との決着ということもあり、三連単は70万円を超える配当となりました!

 グランプリとは正反対の戦いですが、それぞれが仕上げてきた総力戦を見られる期末にも私は毎回注目しています。

☆おおた・りえ 1992年6月22日東京都生まれ、東京大学大学院卒、ミス・ワールド2014日本大会審査員特別賞、同大会2015実行委員長賞受賞、同大会2020日本伝統文化賞。