来月1日のキャンプインを前に日本ハムの「正捕手争い」が早くも注目を集めている。

 昨季終了直後の勢力図では、81試合の出場で打率2割5分6厘をマークした宇佐見真吾が一歩リード。その後に30試合に出場した清水優心が続くと見られていた。だが、オフにオリックスから伏見寅威がFA加入したことで競争が激化。昨季まで中日に在籍していたアリエル・マルティネスも加わったため「捕手戦国時代」が勃発した。

 新庄剛志監督はこの争いについて「宇佐見君と伏見君、あとは他の成長した(若手を含めた)捕手争いというのがめちゃめちゃ楽しい」と大歓迎。キャンプ期間中でのさらなる競争に期待を抱いているが、チーム周辺では「故障さえなければ宇佐見と伏見の事実上の一騎打ちでは」という声が大勢を占める。ただ「どちらが抜け出すか」に関しては新庄監督を含め首脳陣ですら予想困難だとか。2人の考え方やアピールポイント、野球観が大きく異なるからだ。

 両者を知る球団OBは各々の特徴を交えながらこう分析する。

「宇佐見は打撃が売り。しかも強肩に加え性格も明るい。このあたりをオープン戦などでアピールできれば正捕手筆頭候補なのは間違いない。ただ、どちらかと言えば投手より自身がバッテリーをけん引していくタイプ。リード面は磨きをかける必要があります。一方の伏見は相手打者の裏をかくリードには定評がある。彼も明るい性格ですが、伏見は投手の心情や気持ち、その日の状態を徹底的に把握したうえで的確な配球を組むことでも有名です。オリックス時代は若手を中心に投手陣からの信頼も絶大。守備力で言えば宇佐見を上回る。この対照的な2人がレギュラー争いするわけですから。首脳陣も起用法を悩むでしょうね」

 宇佐見は今オフ、「ももいろクローバーZ」の高城れに(29)と電撃婚。さらには10キロ減のダイエットにも成功し、今季は昨季以上の成績に意欲を燃やしている。他方、伏見も新天地での飛躍を狙う。自主トレを公開した15日には「正直やることは何もかわらない。新しいことより今までの積み重ね」と断言。その上で「僕はあまり目立ちたがり屋じゃない。捕手は主役ではないと思うので投手を引き立てたい」と黒子役に徹することを強調していた。