賜杯を譲るつもりはない。大相撲九州場所13日目(25日、福岡国際センター)、大関貴景勝(26=常盤山)が関脇豊昇龍(23=立浪)を下して10勝目(3敗)。休まず攻め続け、引いた相手を力強く押し出した。

 今場所は序盤戦の5日目までに2敗するなど不本意な内容が続いたが、その後は看板力士として勝負強さを発揮。優勝争いで先頭を走る豊昇龍を自ら引きずりおろした。取組後は「集中してやりました。自分を信じてやろうと思いました」と冷静に振り返った。

 土俵下の伊勢ヶ浜審判部長(元横綱旭富士)は「立ち合いはもう一つだったけど、落ち着いて相手をよく見て相撲を取った。慌てなかったところがよかった」とコメント。横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)が不在の中、トップを1差で追走していることには「責任は果たしているんじゃないか」とうなずいた。

 7月の名古屋場所、9月の秋場所は平幕力士が賜杯を手にした。一年納めの場所は大関が逆転Vとなるか。