岸田文雄首相(65)の人を見る目に疑問符がついている。政治とカネの問題で更迭した寺田稔氏の後任となった松本剛明新総務相(63)にも政治資金規正法違反の疑いが持ち上がっているからだ。

 松本氏は衆議院兵庫選挙区で当選8回のベテラン議員。当時の民主党政権で外務相や衆議院議院運営委員長を務めた後、民主党を離党して自民党入りし麻生派に所属している。

 共産党の機関紙「赤旗」は22日に松本氏が自身の政治団体が開いた複数の政治資金パーティーで会場の収容人数を超えるパーティー券が売られ、政治資金規正法違反の疑いがあると報じ、松本氏は仕事始めとなった同日の会見で「法の趣旨を理解し、法にのっとり適切に処理しています」と説明した。

 政治資金規正法の所管は総務省であり、24日からの国会で野党が松本総務相を追及するのは必死。納得できる説明ができなければ短期間で立場が追われることも予想されている。

 自民党内では早くも松本氏を起用した岸田首相の人事に不満の声が漏れ伝わってくる。

「岸田総裁は、岸田派所属の寺田、葉梨康弘前法相を更迭した。さすがに自身の派閥から寺田氏の後任を選べないとなり、麻生太郎副総裁に相談して松本氏に決まったんです。人事眼のなさは今回も出てしまった格好ですよ。年内か年始に内閣改造との話が出たが、まずは良い結果を出さないと話になりませんよ」と自民党関係者はため息をついた。

 渦中の岸田首相は週刊文春に昨年の衆院選の選挙運動費用収支報告書に宛名やただし書きがない領収書が94枚添付され、公選法違反の疑いが報じられている。

 永田町関係者は「総理は『確認中です』と述べるにとどめています。自民党内では総理が衆議院の10増10減が施行される来月28日の前に衆議院を解散するのではないかという見方が出ています。解散は総理の専権事項であり、誰にも読めない状況です」と指摘した。