立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)で行われた「キック頂上決戦」で〝キック界の神童〟こと那須川天心(23)が、K―1のエース・武尊(30)に判定5―0で完勝した。

 ついに実現した「世紀の一戦」。前日58キロ、当日62キロと異例の2回で行われた計量は、共に無事クリア。超満員の注目を浴び、ド派手な演出でリングに上がった2人はコール中、武尊は相手から視線をずらさず、那須川はウルトラマンのスペシウム光線を放つポーズを見せ、いつも通りのスタイルだ。


 試合は1ラウンド(R)から激しい攻防となった。那須川が積極的に打撃を放ち攻め込むと、武尊は早くも〝スイッチ〟が入って笑顔を見せる。その後打ち合いとなったが、R終了直前に武尊のパンチに那須川が左のカウンターを合わせることに成功だ。この〝ライトニングレフト〟をもろに受けた武尊は思わず崩れ落ち、いきなりダウンを喫するまさかの展開になった。

 2Rも那須川が胴廻し回転蹴りを見せるなど攻め込んだが、武尊の頭部が那須川の右目付近に当たるバッティングで中断。その後、組みあってから武尊が那須川を投げ飛ばし、口頭注意が与えられる一幕もあった。

 3Rも激しい攻防。武尊は逆転をかけて前に出る。笑顔を浮かべながらノーガードで攻め込んだが、那須川の華麗なステップを崩しきれず、判定に持ち込まれた。

 判定はダウンを取った那須川が5―0で勝利。判定中から涙を浮かべていた那須川は勝利の瞬間に武尊に歩み寄る。同じく涙を浮かべる武尊と抱き合った。

 頂上決戦が浮上したのは2015年8月。那須川が「BLADE FC JAPAN CUP」での55キロ級トーナメント優勝に優勝した直後に、武尊に対戦をよびかけた。その後、なかなか実現に至らなかったが、事態が動いたのは2020年大みそかだ。武尊がRIZINに姿を見せ、那須川の試合を観戦。ここから一気に21年6月の試合実現に向かった。

 その後、武尊が右こぶしを負傷するアクシデントがあり、試合消滅の危機があったが、4月に予定されていた那須川のボクシング転向を2か月延長することでとうとう実現した。

 那須川は泣きながら「やったぞー!! 俺、勝ったんだよ。今日は皆さん本当にありがとうございます。僕の最後の試合、武尊選手との試合、長い間待ち続けてくれたファンの皆さん、そして武尊選手、本当に本当にありがとうございます。なかなか実現しなくて、好きになったりフラれたり、人生いろいろあるんですけど、東京ドーム、満員の舞台で戦えてよかったです。武尊選手がいたからこそ俺はここまで強くなれたし。みなさんが信じてくれたおかげでここに立てたと思います」と歓喜。

 これでキックボクシングでは無敗のまま、ボクシング転向となる那須川。感傷に浸るように「今日でキックボクシング終わりだ、俺。これでキック引退なんですよ。どうでしたか、今日。みんなで1つになってこうして興行できて、すごい幸せだったんですよ。いろんな団体1つになって、格闘技ってすごいパワーを与えられると思うので。これからも皆さん、協力していただけたらうれしいです。何度も何度もこういう大会をやって格闘技を盛り上げましょう」と呼びかけた。

 そして最後に「今日は何の日だ? 父の日だ。父親、どうもありがとう。最高の親孝行ができたと思う」と話し、父でTEPPEN GYMの弘幸会長とハグし、勝利の喜びを分かち合った那須川。ここから〝神童伝説〟の第二章が始まる。