【取材の裏側 現場ノート】女子プロレス「スターダム」の〝闇の黒虎〟スターライト・キッドの勢いが止まらない。

 5月28日大田区大会では鹿島沙希、渡辺桃との大江戸隊トリオでアーティスト王座を初戴冠。ハイスピード王者として迎えた2022年は、3月に渡辺とのタッグでゴッデス王座を初奪取しており、半年で3つのベルトを巻いたことになる。

 しかもSNS上では「デスぺっち」と呼ぶ同じ覆面レスラー、新日本プロレスのエル・デスペラードとのやり取りが注目を集め、先日は親会社「ブシロード」の木谷高明会長にビンタを見舞ったことがニュースとなるなど、とにかく話題にこと欠かない存在だ。

 ツイッター、インスタグラムにTikTokを使った発信力はプロレス界でもトップクラス。ここで気になるのがSNS上で公開している自撮り写真だ。プライベートショットでは手で口元を隠しただけや、覆面ではないマスクをつけただけの〝ほぼほぼ素顔〟を公開している。

 キッド本人に聞くと「いつからか覚えてないけど、マスク(覆面)は簡単に持ち歩けないし、街中でかぶるのは無理っしょ(笑い)」という返答だった。しかも、最初にアップした時の反響が予想以上に大きかったのだという。

「反応がいいのが分かってからさ、見る人の心をもてあそんでいるんだよね。見えるか見えないか、ギリギリのラインを攻めて。ほら~、想像をかきたてるでしょ?」と覆面越しに妖艶な笑みを浮かべられ、キッドの母親と同年代の記者は反応に困ってしまった。

 そもそも、ほぼほぼ素顔の評判が高いのに、なぜマスクウーマンになったのか。キッドが覆面でデビューしたのが2015年10月11日後楽園大会。本人の記憶では、当時は所属選手が少なく、団体として早くデビューさせたい意向があったようだという。

「技術があるけど、まだ顔が子供みたいで体も細かったから。(ロッシー)小川さん(現エグゼクティブプロデューサー)もマスクが好きだし、マスクウーマンはそんなにいないからいいんじゃないかってなって。子供っぽいというのを隠す目的でマスクになったんだと思う」と振り返る。

 年齢非公表だが、今年1月に新成人を迎えたことを考えると、当時は子供っぽさが残っていたとしても不思議ではない。ただし「本当は素顔でやりたかったけど、別に迷いはなかった。あのころは、言われた通りにやらなきゃいけないと思っていたのかな」と語るように、それほど抵抗はなかったようだ。

「今はマスクウーマンでデビューしてよかったと思う。スターダムがこれだけ大きくなって選手が増え、初めて見る人はなかなか区別がつかないじゃん。その中で唯一のマスクウーマンだから、絶対に覚えやすいし。それに『プロレスイコール覆面』っていうのもあるから、マスクが好きな人もファンになってくれるし」

 念のため「素顔でやりたい気持ちは?」と聞くと、「脱ぐ気はサラサラございませ~ん!」と即答だった。「これからも新しいマスクウーマンの世界をつくり続けるから」と宣言する闇の黒虎を今後も追い続けたい。(プロレス担当・小坂健一郎)