【武田修宏の直言!!】昨年のクラブW杯で活躍したMF柴崎岳(24)が紆余曲折の末、スペイン2部テネリフェへの移籍が決まったね。当初は1部ラスパルマスに入団確実とも言われていたみたいだけど、やはり冬の移籍市場は想定外のことが起こる。どうしても他の選手の交渉も絡んでくるから、大詰めになればなるほど簡単に決まらない。

 でも、その中で改めて感じたのは、日本人選手の地位というか、優先順位は低いということ。どうしても柴崎が欲しいという姿勢は見えてこなかったし、あくまで玉突き移籍の「玉」の一つにすぎなかった。クラブW杯決勝でレアル・マドリードから2得点したというのも、スペイン1部クラブからすれば触手を伸ばすような実績ではなかったわけだ。

 シーズン途中での加入ということで即戦力として期待されるわけだから、すぐに結果を出さないといけない。ストライカーではないから、それ以外でチームの雰囲気を劇的に変えるプレーを見せることが必要。これはある意味、ストライカーよりもハードルが高いよ。

 だからといって柴崎がスペインで通用しないとは思わない。エイバルにいる乾貴士のテクニックが十分に認知されているように、日本人選手でも戦える舞台だ。私は柴崎が日本代表に初選出された時の合宿で話をしたが、彼の向上心や「うまくなりたい」という強い意思を感じた。ぜひスペインで新しい歴史をつくってほしいと思う。

 ☆武田修宏:たけだ のぶひろ=1967年5月10日生まれ。静岡県出身。幼少期から「天才少年」と呼ばれたストライカー。名門・清水東(静岡)から86年に読売クラブ(現東京V)入り。ルーキーながら11得点を挙げ、リーグVに貢献し、MVPにも選出された。Jリーグ発足後はV川崎や磐田、京都、千葉などでプレー。00年には南米パラグアイのルケーニョに移籍。01年に東京Vに復帰し、同シーズンで現役引退した。Jリーグ通算は94得点。JSL時代も含めれば152得点を挙げた。87年に日本代表に選出。93年米国W杯アジア最終予選でドーハの悲劇を経験した。

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