セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第1戦(8日、東京ドーム)は、レギュラーシーズン3位のDeNAが5―3で逆転勝ち。同2位の巨人はファイナルステージ進出へ王手をかけられた。誤算だったのは守護神・澤村拓一(28)で、1点ビハインドの9回に痛恨の1イニング2失点と炎上し、試合をブチ壊した。大一番でも不安定な姿をさらした右腕への怒りはチーム内でもピークに達しつつあり、ついにクローザー剥奪も検討される事態となってきた。

 いったい、何度同じ光景が繰り返されるのか。先発のマイコラスが筒香に逆転2ランを浴びながらも、6回3失点とまずまずの奮投。2―3と緊迫したまま9回を迎えたが、澤村の登場で一気に試合がブチ壊された。

 いきなり先頭のロペスに一発を浴びると、その後も一死満塁のピンチを招き、戸柱の犠飛で2点目を献上。最終回の攻撃で坂本にソロ弾が飛び出して2点差まで詰め寄っただけに、あまりにも悔やまれる2失点だった。

 1番・坂本、3番・村田と大幅に組み替えた打線はあと一本が出ず、終わってみればシーズン同様に筒香、ロペス、梶谷にアーチをかけられての力負け。由伸監督は「シーズンと違うので、あれこれ言ってもしょうがないんじゃないですか。明日勝てるように頑張るしかない」と必死に前を向いたが、後味の悪い負けっぷりに、球団内のムードは真っ暗だ。

 なかでも、不調続きの澤村への怒りは爆発寸前。今季は37セーブを挙げて初タイトルを獲得したが、シーズンの節目で何度も炎上した。菅野や内海の勝ち星を何度も消して怒りを買ったが、CS決戦の舞台でも、チームを崖っ縁に追いやる失態。この日の試合前にナインにハッパをかけた老川オーナーも、観戦後は澤村の名を口にして、思わず苦笑したほどだった。

 球団サイドもブチ切れ寸前で、フロント内からは「正直、あのポジションでは使いにくい。使い方を考えないといけない」と来季からの配置転換をにおわす声まで上がり「マウンドに上がって相手側から拍手が起きているようでは困る。抑えで何度も負けに直結する投球をされるよりも、先発で10勝10敗している方がまだいい」と語る関係者まで現れた。

 首脳陣は澤村の力を信じ、プライドを尊重して配置転換に関しては議論してこなかった。だが、あまりの連続炎上で、来季の見通しはまったく不透明。“抑え失格”となれば、球団の補強方針へも大きな影響を及ぼしそうだ。外国人、FAはもちろん、今秋のドラフトは高レベルな投手が揃うだけに“ルーキー守護神”も念頭に即戦力指名の方向を探る可能性もある。また、今季リーグ最多の41ホールドをマークし、この日も圧巻の3者連続三振を奪ったマシソンを再配置転換させるのも一手となるだろう。

 重要な一戦で、またも期待を裏切った澤村は「無失点だったら、まだ分からなかった。追加点を与えたのは良くなかった」と振り返ったが…。抑えの役目にやりがいを感じ始めたのもつかの間、その立場は大きく揺らいでいる。