東京五輪代表候補選手が合宿をボイコットするなど大揺れの全日本テコンドー協会は1日、都内で協議会を開いた。

 この日は協会幹部、選手および所属企業の関係者など約35人が出席。「環境改善」を求める選手サイドと協会幹部が直接面談する絶好の機会だったが、終わってみれば一部の選手が途中退席するなど両者は平行線をたどり、むしろ対立を深めてしまった。

 今回、選手側が主張したのは現体制の抜本的な見直しだ。現強化体制に不信感を抱く一部選手は今年6月に協会へ意見書を提出。しかし回答がないことを不満に思った選手は合宿不参加を決め、問題が明るみに出た。

 協会は先月に回答書を公式ホームページで公表。だが、世界テコンドー連盟(WT)への報告書の中で「現在は選手および指導者たちは困惑しているということにはなっていない」と記したことが、新たな火種を生んでしまった。

 選手側は「事実と反することを報告した」と猛反発。この虚偽報告疑惑について協会側は「回答書が出ていないことへの不満はないという意味」といささか苦し紛れに説明。この齟齬(そご)が両者の隔たりを大きくさせた。

 また、選手側からは「もっと根本的な問題で温度差がある」「このままで話し合うのは時間の無駄」との声も上がっており、現体制への反対の意味を込めて退席した者もいたという。

 協議会終了後、シドニー五輪銅メダルの岡本依子副会長(48)は「今、起こった問題ではなく、ずっと続いてきた。自分も4年間、理事をして何も変えられなかった。(自分は)ナンバー2ですが、何も変えられなかった」と釈明。東京五輪1年を切った中での騒動について「なんで選手をバックアップしなければいけない私たちが…。申し訳ない気持ちしかない」と涙ながらに語った。

 その上で、WTへの報告内容について「正直こんなことがあるのかな?と思っている」と不満顔。さらにヒートアップした岡本副会長は「この組織には危うさを感じている。第三者委員会はマストかな。これまで選手を苦しめてきたのに、すごく上から目線なところが恥ずかしくて。もう資格ないんちゃうかなと思っている。誰かが責任を取らないと。偉そうに、自分らが決められる状況なのかな?と感じた。理事会を解散するくらいで当然かなと思っている」と現体制への不満をまくし立てた。

 一方、その直後に現れた金原昇会長は「コミュニケーション不足。そのひと言。信頼関係が薄れてしまった。早急に対応していく」と語った。同会長へは「恐怖政治」「独裁」との声も上がっているが「独裁という言葉は刺激的だが、決してそんなことはない。今は独裁なんかできるわけがない」ときっぱり否定。こわもてと言われる自身のイメージについては「そう言われても(怖い)顔は変えられないから」と語った。

 空中分解寸前の協会は今月8日に理事会を開催。この場で対立の溝が埋まるのか注目される。