【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】全員女性警官という警察署がさる14日、フィリピン中部のシキホール島にオープンした。島を管轄する中央ビサヤ諸島の警察署長によれば「地域全ての警察署や役所で、女性の地位向上を進めるプログラムの一環」だという。

 シキホール島は340平方キロ(福岡市とほぼ同じ)に約9万6000人が暮らす。地元紙「インクワイラー」によれば、女だらけの署が設置されたのは、島全体の15%を占める東部マリア地区。このエリアを女性警官21人でカバーする。アンジェラ・レハノ署長いわく「我々は、警察車両の運転技術や逮捕術、射撃についても厳しい訓練を積み重ねてきた」。

 当局はフェイスブックで、ライフルを手にボートでの近海パトロールに当たる勇猛な姿や、地域住民の相談に乗る親しみやすい様子を動画公開している。ちなみに警官たちは、みな柔和な笑顔ながら男顔負けのたくましい体つきだ。

 シキホール島は海の透明度が高いダイビングスポットで、近年は国内外から観光客も増えている。人気リゾート・セブ島からフェリー路線もある。万が一の事故に備え、彼女たちは潜水の訓練も怠らず、ビーチでの清掃活動にも取り組んでいる。

「フィリピンはもともと、女性の社会進出が非常に進んでいる国。家庭内でも職場でも女性がリードし、男は頼りきりの『女の国』とも言われる。ウチも女房には頭が上がらない(笑い)」とは、首都マニラ在住で現地人妻を持つ日本人記者。「家事や育児はメイドに任せ、妻は会社でバリバリ働いている。富裕層でなくともメイドを雇うのは一般的で、メイドがメイドを雇っていたりもする」という。

 ILO(国際労働機関)によると、管理職に女性が占める割合の世界4位はフィリピンで47・6%(2015年発表=日本は11・1%で96位)。また世界経済フォーラムが昨年末発表したジェンダー・ギャップ指数、いわゆる「男女平等ランキング」では、149か国中フィリピンは欧米先進国に交じりアジアトップの8位。日本は110位だった。

「特に教育の達成度の指数が高い。フィリピンでは高等教育を受け、医師や政治家、企業トップなど社会的地位のある職業で活躍する女性が珍しくない」(前出記者)

 シキホール島では「男性よりむしろ女性のほうがずっと勤勉で優秀。だから警官も女性だけのほうが安心」という声もあるようだ。同署は「フィリピン国家警察がジェンダーフリーな組織であることを示すショーウインドーになる」と誇る。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。