リオ五輪柔道男子66キロ級代表の海老沼匡(26=パーク24)は夫婦の力を結集して悲願の金メダルを目指す。2014年12月に、元世界選手権代表の香菜さん(28)と結婚。“リムジンプロポーズ”でゲットした最愛のパートナーの支えを力に変えた金メダル候補は今、何を思うのか。銅メダルに終わったロンドン五輪の雪辱を果たすために精進を続ける男の本音に迫った。

 ――調整は順調か

 海老沼:8月に一番強い自分をつくればいいと思っている。少しずつですけど、手応えは自分の中で感じています。

 ――ロンドン五輪前と比べて

 海老沼:今もそうなんですけど、がむしゃらに日々を過ごしていた。「五輪は魔物」と言われるのは、プレッシャーだったり周りの期待だったり…。世界選手権とは少し違うぞというところがある。自分を崩さず、自分のペースで自分らしくやっていきたい。

 ――ロンドン五輪後の2013年、柔道界は不祥事に見舞われた

 海老沼:ボクらができることは、結果を出して「柔道界はまだ捨てたもんじゃないぞ」というところを見せるしかない。例えば、地方を回って柔道教室を何回開いたところで、それほど柔道のイメージは変わらないとボクは思った。それより、結果を出してみなさんの前で柔道の存在をもう一度、アピールすることがすごく大切かなという思いでやってきました。

 ――14年には現代表の井上康生監督(38)以来となる世界選手権3連覇を達成。その後、香菜さんと結婚した

 海老沼:自分で決めたことなので後悔は全くないですね。ボクはオフの時、柔道以外のところでは力を抜きたい選手。力を抜いて自然体でいられるというところで、すごく奥さんの存在は大切であり、重要な時間であると思っています。一人でいるころはため込んでしまう時期もあった。2人で過ごす時間が増えることによって、オフの時間はすごく充実していると思っています。

 ――減量の時は香菜さんも同じ量のご飯を食べて協力している

 海老沼:それはボクにかこつけて、ダイエットしているだけだと思いますけど(笑い)。でも、ボクが減量中には普段とは少し違うところがあるので、それは奥さんも気を使ってくれて過ごしてくれているなっていうのはすごく感じます。

 ――どこが好き

 海老沼:一緒にいて気を使わないところです。ボクは柔道を一番に考える人。それをしっかり理解してくれて、その中でも何かひょうひょうとしているというか、何か力が抜けているのが奥さんであり、そういうペースに自分にないものというところが引かれていったのかなと思っています。

 ――プロポーズはリムジンを手配して東京タワーを回ったとか

 海老沼:余計なこと、しゃべりましたね(笑い)。インターネットでいろいろ調べつつ、でも王道はいきたくなくて、すごく大切な日にしたいなということを考えながら準備しました。一生に1回なので。人に相談はしてないです。奥さんは私生活の中で欠かせない存在になっている。リオに向けて一緒に戦うというところで、ともに歩んでいけたらと思います。

 ――リオ後には東京五輪もあるが

 海老沼:「東京まで」ということはすごく言われるんですけど、率直なところは何も考えていません。第一優先はリオで勝つことなので、それ以降のことは何もボクの中で描いていることはないですね。

☆えびぬま・まさし=1990年2月15日生まれ。栃木・小山市出身。5歳の時、柔道を始める。中学から講道学舎に入門し、明治大卒業後はパーク24に所属。ロンドン五輪で銅メダルを獲得し、2014年ロシア・チェリャビンスク大会で世界選手権3連覇を達成した。夫人は元63キロ級代表の香菜(旧姓・阿部)さん。170センチ。