オランダ1部フローニンゲンの日本代表MF堂安律(21)は、新シーズンに向けて各クラブが始動する中で、いまだに新天地が決まっていない。森保ジャパンでポジションを争うMF久保建英(18)はスペイン1部の名門レアル・マドリードに移籍して飛躍を果たしたが、“ライバル”の堂安にはいったい何が起きているのか?

 堂安は2季前に公式戦10得点を決め、昨年10月には「フランス・フットボール」誌が選ぶ“若手版バロンドール”候補10人に名を連ねた。昨季も5得点と安定した成績を残し、久保に匹敵するほどビッグクラブから熱視線を送られる注目株となっていた。

 そのため本人もステップアップへの野心を隠さずに「このチームにとどまれば(成長が)止まる」と勢い勇んで新クラブを模索中。すでにマンチェスター・シティーやサウサンプトンなどイングランド・プレミアリーグ勢が獲得への関心を示し、ロシアの名門スパルタク・モスクワやウクライナの強豪シャフタル・ドネツクからもオファーが届いた。それにもかかわらず、欧州クラブが続々と始動する今月半ばを迎えても移籍は実現していない。これには堂安側が設定するハードルの高さが関係しているという。

「できれば欧州チャンピオンズリーグ、または欧州リーグに出場できるチームを希望している。比較的いいチームから声がかかっているみたいだけど、なかなか難しい面もあるのでは」と欧州組の日本代表選手を担当する代理人は指摘する。

 伸び盛りの堂安はかねて次に移籍するクラブを重要視。兄貴分と慕うDF長友佑都(32=ガラタサライ)からは、イタリア1部インテルに在籍した経験から強豪でプレーする重要性を説かれ、本人も6月に「出られるのが保証されるところじゃなくて、勝負したい」。だが、なかなか移籍の環境は整わない。

 また「来年の東京五輪に出たいようで、出場の許可を求めているとも聞く」と同代理人。堂安は久保とともに東京五輪のエース候補で、地元開催とあって出場意欲も高い。ただ欧州クラブの多くは五輪への選手派遣に消極的なため、交渉が難航する一因になっているようだ。

 最近ではフランス1部モナコやスペイン1部の中堅クラブも興味を見せ始めるなどモテモテぶりは変わらない。それでも、ライバルの久保が“銀河系軍団”でスターに囲まれながら充実した日々を過ごす姿を目の当たりにしたら、安易に妥協もできないだろう。日本期待のアタッカーはどんな決断を下すのか。