【ボートレーサーのイチ押し!】人気ボートレーサーのとっておきの宝物や超お薦めの逸品、名店などをドーンと公開する「オレの(私の)イチ押し!!」――。第2回は平本真之(32=愛知)だ。5月の尼崎オールスターを制し、2度目のSG優勝。初のグランプリ出場も見えてきており、名実ともにトップレーサーの仲間入りを果たした。今回“イチ押し”として紹介してくれたのは、そのボート人生をともに歩んできた「勝負靴」だ。

「仕事(レース)に行く時はいつもこの靴を履いていきます。一般戦、記念とかに関係なく全部、この靴でレース場に行きます」――。

 そう言って見せてくれたのは、きれいに磨き上げられ、高級感と気品が漂う革靴。1895年にパリでイタリア生まれの職人が創業した老舗高級メーカーの「Berluti(ベルルッティ)」の靴でお値段は約20万円という逸品だ。

 購入したのはデビュー6年目の2010年。きっかけは、この年の桐生ダービーだった。

「SGに初めて出場させてもらったんですけど、レース場に入る先輩がとにかく格好良かったんですよ。皆さん、高いスーツや靴を着こなしていた。僕もそういう服装が似合うような選手になりたいと思いましたね。高価でも、いいものを買って大事に長く身に着ける。成績ももちろんですけど、服装もしっかりすることで選手としても風格が出てくる。そうなりたいと思って、思い切ってこの靴を買いました」

 ピカピカの新品だった相棒が年を重ねるごとに絶妙なツヤを帯びて、さらなる魅力が引き出されていく。それと歩調を合わせるように自身もレーサーとして着実にステップアップしていく。

「いつもクリームも持ち歩いていて時間がある時によく磨いています。磨けば磨くほど雰囲気も出てきた。すごくいい感じになっているでしょ? 愛着も強くなってきましたね」

 レース場のロッカールームで磨くこともあり「この靴を磨いている時は仕事のことも忘れて無心になれますね」という。

 グランプリ出場、そして制覇で艇界の頂点に立つという大仕事が残っている。「ずっと、この靴を履いていくつもりです。靴底がダメになっても張り替えて履きますよ」

 この先の道も“勝負靴”とともに歩んでいく。