目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【荒井翔伍(26=東京・106期)】すでに、おかの上では全国区のスターになりつつある。GⅠ初出場となった2013年の新鋭王座決定戦の開会式で、お笑いコンビ・藤崎マーケットの「ラララライ体操」をもじった「オレアライ体操」を披露。“笑撃デビュー”を飾ると、その後も、とにかく明るい安村、永野といった旬のお笑い芸人のネタを取り入れたパフォーマンスで初日早朝から訪れる熱心なボートファンを沸かせてきた。今では開会式の名物キャラとして定着し、期待する主催者が特別に「荒井タイム」を用意することもある。

 パフォーマンスで注目を浴びるとともに、水面の成績も上昇した。「顔と名前を覚えてもらえるようになって、『水面でも結果を出さないといけない』という、いい意味でのプレッシャーですね。それがいい方に向くことは多いです。(師匠の)作間(章)さんには『陸の上だけでもしっかりやれ』と言われるんですけど、いろいろ考えるのも実際にやるのも楽しいですし、度胸もつきました」との言葉通り、2015年前期には勝率6・28でA1に初昇格。モーターボート競走会が選出する関東地区のスター候補にもなった。

 もっとも、現状はGⅠのカベにぶち当たっている。ケガやF休もあって初昇格直後の同年後期は5・86でA2に降格。そこから16年前期は自己最高の6・49をマークしてA1に返り咲いたものの、後期は5・96で再びA2に降格。安定して勝率を残せず、A1に定着できないのが現状だ。

「一般戦では優勝争いも普通にできるんですけど、GⅠでは強い選手と対戦することが多いので…。(不良航法、待機行動違反などの)ミスも多いですし、勝率が下がってしまうんです。実際のレースの走りだけでなく、ペラの調整、エンジンの整備、気持ち…上の人と比べると全部でまだまだなので勉強です。まずはA1に定着すること。そしてGⅠ、SGでも勝てるようになりたいです」。当面は17年前期でのA1復帰、そしてGⅠ優出、SG出場を見据える。

 そんな状況で迎えるヤングダービー(9月=とこなめ)は勝負の舞台だ。昨年は準優3着と優出に一歩及ばず、悔しい思いをした。「最大の目標ではないですけど、すごく勝ちたいレースです。まずはそこですね」とすでにロックオン。水陸両用のパフォーマーは、開会式だけでなく表彰式でも主役を務めるつもりだ。

☆あらい・しょうご 1989年10月1日生まれ。東京支部106期。2010年5月平和島でデビュー。初優勝は14年芦屋一般戦。13年新鋭王座でGⅠ初出場。SGは出場経験なし。通算2V。同期に岩瀬裕亮、森野正弘、今井美亜ら。身長157センチ。血液型=O。