目指せ!「ヤングダービー」U-30の咆哮

【西尾亮輔(27=愛知・112期)】“下積み”時代に重要なのは忍耐力。思うように動けないふがいなさを引きずっていては前進はない。艇界一の「打たれ強さ」を武器に未来の東海“チャンプ”を目指すのがこの男だ。元ボクサーの肩書はボートレースの世界でもしっかり生きている。

「とにかく元気で打たれ強いのが自分の取りえ」と屈託ない笑みを浮かべる27歳は、学生時代にボクシングに打ち込み、勝負勘を養った。

 2007年の蒲郡SG「メモリアル」を制した魚谷智之の姿を見て、この世界を志した。4回の試験を経て念願のプロ入りとなり、今はデビュー3年目を迎えている。

「まだまだ足りないことばかりだけど、これまでできなかったことが、少しずつできるようになってきた。これまでは焦って失敗することが多かったけど、最近はそれも少なくなってきた」

 豊橋市出身。高校はボクシング部のある県立蒲郡高校を選んだ。モスキート級でインターハイ3位、専修大学には特待生で進学し、国体5位の実績を残している。

「ボクシング部時代はとにかくボコボコにされた思い出しかない。顔もそうだけど(笑い)、それ以上にメンタルの面でボッコボコにされた。この世界に入って、それがすごく生きている。この世界も体育会みたいなもんだし、デビューしてすぐに上下関係にはすんなりなじめたのは大きい」

 常に笑顔で先輩にもいじられるシーンは多く、ムードメーカーとなっている。

 まだ予選突破すらない状況だが、一般戦でも時折、格上相手に鋭い攻めを披露し、穴党を喜ばせることもある。今、課題に挙げているのが、まくり差しの精度だ。

「スピードを持ったまま、いかに角度をつけて入れるか。落とせば落とすほど舟は向くけど、それでは意味がない。5コースからまくり差しで穴をあけることが多いので、お客さんにはぜひ買っていただければ、うれしい。負けても打たれ強く買い続けるのは難しいと思うけど(笑い)」

 WBC世界バンタム級チャンピオンの山中慎介(33)は専修大学の6学年先輩で憧れの選手だ。今から5年前、現場で見た王座奪取の感動のシーンは今でも忘れられない。

「自分もプロである以上は、お客さんに何かを感じてもらえるような選手になりたい」

 大外から一撃を見舞うようなハードパンチャーではない。“手数”でコツコツと勝負していつかはSGの舞台に立つ。その思いで今は打たれ続けている。

☆にしお・りょうすけ=1988年4月13日生まれ。愛知県豊橋市出身。2013年5月、蒲郡でデビュー。その1年後の江戸川で初勝利を飾る。県立蒲郡高校、専修大学(経済学部)ではボクシング部に所属。師匠は佐藤大介。112期同期には松尾充、富樫麗加らがいる。趣味はスノーボード。好きなタレントは北川景子。身長153センチ。血液型=AB。