女子レーサー 初公開!秘蔵ショット

【大山博美(49=福岡、61期)、大山千広(19=福岡・116期】女子ボートレーサーの知られざる素顔を紹介する“私の初公開”「秘蔵ショット」――。今回はボート界史上初となる“母娘”レーサー・大山博美&千広の登場だ。8月の福岡お盆戦では同時あっせんとなり、5日目には親子対決も実現。その模様はNHKのニュースでも取り上げられて全国に配信もされ、話題となった。

 千広が母の後を追い、やまと学校に入学したのは2014年4月。「小さいころから母の走る姿をテレビなどで見てカッコイイと思っていた」のが動機だ。受験にあたって母・博美は賛成も反対もせず「自分のころとは違うので、特にアドバイスをしなかった」が、見事一発で合格した。

 だが、入学から2か月が過ぎたころ、実家にいる博美の元に1本の電話が入った。「想像していたのと違うし、自分には向いていない」という千広からの泣き言だった。それに対して母は1通の手紙を書いた。

「選手になりたいと言いだした時に、好きなようにさせたことを後悔しました。あの時にいろいろアドバイスできていたらと…。内容は入ったからには卒業してほしいことと『一緒に走る』という同じ夢を見ようということでした」

 手紙を受け取った千広も「ここで辞めるわけにはいかない。自分も母と一緒に走りたい」と退学は思いとどまった。そして今年3月、無事に卒業し、晴れてボートレーサーの道を歩み始めた。

 8月17日、ボートレース史上初となる“母娘対決”が実現した。ボートレース福岡の「お盆特選レース」5日目第3Rのことだった。3号艇に博美、4号艇に千広。

「こんなに早く一緒に走るとは思っていなかったので、正直、心の準備はできていなかったですね。娘の方は選手になれば、一緒に走ることが当然のことのように思っていたみたいですけど…」

 やはり母の方がプレッシャーを感じていたようだが、レースは博美が3コースから2着。千広はスタートでコンマ79と大きく遅れ6着に敗れた。

 さて2人の今後だが、博美は「正直、自分がここまで長くできるとは思いませんでした。これからは娘の成長する姿を間近で見ていきたいですね。それには自分も頑張らないと!」と親心をうかがわせれば、千広は「男女が同じ土俵で戦える競技なので、いずれは高いレベル(SGなど)で男の選手と互角に渡り合うのが目標です!」と抱いている夢は大きい。

 ボートレース界初の母娘レーサーの活躍に期待したい。

☆おおやま・ひろみ=1966年1月5日生まれ。福岡支部所属の61期生。87年11月、福岡でデビュー。88年4月の宮島で水神祭(初勝利)を挙げると、94年5月の桐生女子レースで初優勝を飾る。通算Vは2回。

☆おおやま・ちひろ=1996年2月5日生まれ。福岡支部所属の116期生で今年5月にボートレース福岡でデビューしたが、現在まで47走して未勝利。