夫婦ボートレーサー泣き笑い 力良&裕子の交換日記

【中西裕子の巻】4月は出会いの季節。入学や引っ越し、異動などで生活環境が一変する人も多く、何かと出費がかさむ時期。ボートレース界では今月から賞金制度が変わり、選手に支払われる賞金が下がったんです。レーサー夫婦の我が家でも「おカネの大切さ」が身に染みる今日このごろです。

 私がデビューしたころ(2004年)は、一般戦で1着を取ると最高で12万6000円の賞金がもらえましたが、今は8万円以下のときもあります(※レース場の売り上げによって変化)。よく「ボートレーサーって儲かるでしょ?」と言われますが、金銭的に心配がないのは努力して実力をつけたトップレーサーだけ。やっぱりお金を稼ぐって簡単ではないです。SG、GⅠなどのグレードレースを走るトップ選手とは違い、私たち夫婦はまだ一般戦が主戦場。決して金銭面で余裕があるとは言えない現状です。

 毎月、息をしてるだけでお金はドンドン出ていきます。生活費のほかにも家賃と保険と税金を払わないといけない。定期的に給与が振り込まれるサラリーマンの方とは違い、私たちは出場した開催の最終日の翌日に賞金が振り込まれます。そこから住民税などを自分で支払うので、ある程度の貯蓄がないと不安になるんです。

 だからフライングを切ると本当にヤバい(汗)。1期間内にフライングを1回切ると30日、2回切るとプラス60日もレースに出場できず、当然その期間は無職。1回フライングすると1か月も“無収入”になってしまいます。私が産休中の時、家計のすべてを支えてくれていた夫(黄金井力良)がフライングした時は、さすがに焦りましたね。

 ボートレーサーには「定年」がありません。しかし、体が健康でないと現役を続けられないし、いつ事故やケガをするかも分かりません。さらに一定の成績をキープしないとクビになる制度もあります。なので、退職後のことを考えて働けるうちにたくさんお金を稼がないといけません。老後のことを考えると、やっぱり心配になりますね。

 ちょっと暗い話が続きましたが、考え方を変えればボートレーサーはとても刺激的な職業でもあります。なにせ、努力次第では大きなお金を手に入れられるのですから。最高峰のレース、グランプリの優勝賞金は1億円です。ピットアウトから約3分半、3周で夢の1億円! そこまで行くのは想像を絶する努力が必要ですが、宝くじと違って自分の努力で1億円を手に入れられるのは魅力です。レーサーであれば、誰でもチャンスはあるんです。

 私もデビュー当時の夢は1億円の家を建てることでした。今は現実を見て、少しでも夢をかなえられるよう日々努力しています!

☆なかにし・ゆうこ=1983年12月30日生まれ。埼玉支部の94期生。2004年5月の戸田でデビュー。同年8月の平和島で初1着。夫・黄金井力良とは10年10月に結婚。11年2月に長女、14年3月に長男を出産。15年1月の産休明け復帰シリーズで通算100勝を挙げた。優勝は未経験。身長161センチ。血液型=O。

 <次回は夫・黄金井力良が執筆=4月23日掲載>