オランダがメキシコ下し8強 勝敗を分けた給水タイム

2014年06月30日 16時00分

【ブラジル・フォルタレザ29日(日本時間30日)発】サッカーW杯ブラジル大会決勝トーナメント1回戦でB組1位のオランダはA組2位のメキシコに2―1で勝ち、準々決勝に進んだ。1点リードを許す苦しい展開のなか、後半43分のMFウェズリー・スナイデル(30=ガラタサライ)の起死回生の同点弾と、後半アディショナルタイムのPKで大逆転。今大会から導入された「新制度」がオレンジ軍団を救った。準々決勝では、この日C組2位のギリシャを下したD組1位のコスタリカと5日(同6日)に激突する。

 

 

 酷暑の試合でオランダは季節はずれの“薄氷”を踏んだ。後半40分を過ぎて、まさかの1点のビハインド。母国への帰国便を心配し始めたサポーターもいたかもしれない。攻め込んでもメキシコの分厚い守備に阻まれ、焦りが出てもおかしくない時間帯だった。だが、ピッチ上の選手たちの心は折れず。あきらめない気持ちがスナイデルの右足に乗り移った。

 

 後半43分、FWロッベン(30)の右CKをゴール前のFWフンテラール(30)が頭で落とすと、ボールはメキシコ守備陣が誰もいないペナルティーエリアの左に転がった。ここにいち早く走り込んだスナイデルが強烈な右足ミドルシュート。好守を続けてきたメキシコGKオチョア(28)の反応を一切許さず、試合を振り出しに戻した。

 

 スタンドには延長戦突入の雰囲気が充満。だがオランダはそこで止まらなかった。後半アディショナルタイム2分、ロッベンがドリブルで右からエリア内に侵入。ゴールラインまで達し、切り返そうとした瞬間にメキシコDFマルケス(35)に足をかけられて倒され、主審の笛が鳴った。

 

 判定はPK。これをフンテラールが落ち着いてゴール左に決め、土壇場で大逆転。キックオフに戻ったメキシコから反撃の力を完全に奪い取った。

 

 晴天のなか、現地時間午後1時の試合開始時の気温は32度。冷涼な気候の欧州で普段プレーしているオランダより、過酷な環境に慣れているメキシコに分があると見られた。両チームともウイングを下げ気味に5バックでスタートし、持久戦を想定。それでもオランダは押し込まれた。前半9分には守備的MFデヨング(29)が故障し、メキシコの連続攻撃をしのぐので精一杯だった。

 

 そんななか迎えた32分過ぎ、主審は給水タイムで試合を中断。オランダにとってはありがたい“水入り”となり、その間にファンハール監督(62)から戦術を4―2―4に修正するよう指示を受けた。これで前半を乗り切った。

 

 後半に入ると3分に失点を喫し、その後も押し込まれる苦しい展開。だが、31分過ぎのこの日2度目の給水タイムで選手の気力と体力の消耗は最小限に抑えられた。終盤で踏ん張りが利いたオレンジ軍団は、国際サッカー連盟(FIFA)に救われた形となった。

 

 1次リーグで前回王者スペインを沈め、3試合で10得点は16強進出チームで最多。出場停止から戻ったFWファンペルシー(30)は不発に終わったが、二枚看板のもう一人、ロッベンは縦横無尽に走り回って勝利を呼び込んだ。準々決勝以降、オランダに1時開始の酷暑試合はない。4年前に涙をのんだ決勝の舞台が少しずつ視界に入ってきた。

 

 

【給水タイム】

 FIFAが今大会からの導入を決めた。一定の条件に達した高温多湿下での試合で、前半と後半のそれぞれ30分前後に一度ずつ、約3分間試合を止めて選手に給水させる。大会序盤で適用されることがなかったため、首都ブラジリアの労働裁判所が20日にFIFAに対し、改めて適用を命じた。ブラジル国内では、30度を超えた試合で給水休憩をとらせる規定がある。