中村均元JRA調教師会会長が語るJRAの存在意義&開催を続ける意味とは

2020年05月05日 21時00分

「三密」ならぬ「三効」を提唱した中村均元JRA調教師会会長

 コロナ禍の影響で、イベント、スポーツなど様々な興行が中止に追い込まれている中、唯一とも言えるほど“活動”を継続しているのが公営競技。そのトップをひた走る中央競馬(JRA)の存在意義、開催を続ける意味とは? かつてJRA調教師会のトップとして陣頭指揮を執った智将・中村均本紙評論家が「三密」ならぬ「三効」を提唱し、今だからこそ値打ちがある競馬のバリューを大いに語った。

「密閉」「密集」「密接」。「三密」を避けることが新型コロナウイルスの集団感染防止に役立つというのはすでに誰もが認知していることだろう。では元JRA調教師会会長でもある智将・中村均=本紙競馬評論家が提唱する「三効」とはどういう意味なのか? ここにこそ今、中央競馬が開催を続ける意義があるという。

「“三効”とは競馬がもたらす3つの効果のことです。すなわち、“自粛”と“楽しみ”と“社会貢献”。人類と新型コロナウイルスとの戦いは、ワクチンや特効薬ができるまで続く持久戦。いつ終わるか分からないという不透明な状況の中、我々は様々なことを自粛しなければなりません。息苦しく感じることも増えるでしょう。何もできない、楽しめない…。でも今、競馬は無観客とはいえ開催を続けているので、外出を自粛しながら見ることができます。それを楽しむことができます。そして何より私たちが買った馬券の一部が国庫納付金(※)となって、国に貢献することができる。この意味はとても大きい」

 馬券を買う金をそっくり寄付すればいいではないか? そういう意見もあるかもしれない。だが、本人が楽しむということが何より重要だという。

「様々な自粛を強いられてストレスがたまる今の時代、ついイライラしてしまうことも少なくないと思います。なんとなく世の中がギスギスしているような…。だからこそ、限られた中で楽しみを見つけることが必要なんです。私にとっては、それが競馬です。調教師を辞めてから東スポさんに声をかけていただき、評論家としてやらせてもらっていますが、毎週月曜に週末の登録馬が出たら、その馬名を眺めながらじっくり検討を始めます。水曜の晩には、ネットで最終追い切りの動画をチェックするんです。そうして1週間を通して予想してきた結果が見事に当たった時の爽快感は何物にも代えがたいものがあります。それが今は外出自粛につながり、国にもわずかながら貢献している。最高の趣味だと思っています」

 一競馬ファンとして毎週馬券をせっせと買っている中村均本紙評論家。無観客開催で、競馬場に行って実馬をチェックできない既存のファンに対してのアドバイスも忘れない。

「調教師をやっていたころは、パドックで自分にとって最も馬が見やすい位置でチェックしていました。ファンにもそういう方はもちろんいるでしょうし、実際、競馬場に行ってパドックを見れないことにストレスを感じるかもしれない。そんな時は、インターネットでパドック動画が見られるサイトに入るというのも、ひとつの手です。テレビのパドックはたいてい1回流して終わりですが、動画なら何度も繰り返し見ることができる。たとえ映す角度がイマイチでも、何度もチェックすると分かってくることも多いんです」

 念入りな馬券検討が功を奏して、4月の皐月賞では◎△▲で3連単2万6310円をズバリ的中させた智将・中村均。

「毎週GI週の週末紙面に掲載される私の予想“競馬戦国絵巻”にも、ぜひご注目ください」と自身の連載に対するピーアールも忘れなかった。

※国庫納付金=馬券の売り上げのうち、約75%が払戻金に充てられ、残りの約25%が控除される。この約25%のうち、10%が国庫納付金(第1国庫納付金)として国に納められる。残りの約15%はJRAの運営に充てられ、各事業年度において利益が生じた場合にはその額の2分の1がさらに国庫に納付され、これは第2国庫納付金と呼ばれる。国庫納付金は国の一般財源に繰り入れられ、そのうちの4分の3が畜産振興に、4分の1が社会福祉に活用される。令和元年の国庫納付金は約3205億円だった。

【プロフィル】なかむら・ひとし 1948年9月13日生まれ、京都府出身。麻布大学獣医学部卒業後、71年に父親の中村覚之助厩舎の厩務員になる。77年に28歳の若さで調教師免許を取得。厩舎開業後はトウカイローマン(84年オークス)、マイネルマックス(96年朝日杯3歳S)、ビートブラック(2012年天皇賞・春)でGI制覇を達成。また04年から10年まで日本調教師会の会長を務める。好きな戦国武将は石田三成。